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「自分の都合で悩むなら最後まで貫け!
見えない先が怖いなら、そうならないよう死ぬ気で足掻いてみろ!
ずっと年下の子が必死に向き合おうとしてんのにウジウジ言ってんじゃねぇよ!お前を許せないのはお前自身だろ。全部人の所為にしてんなよ臆病者!」
桃の言葉が容赦なく胸に突き刺さる。
あの日からいつも頭にあるのは後悔ばかりだった。
やり直したい。悲しみの涙は見たくない。
好きになってくれてありがとう。
俺も慧が誰よりも好きだと言いたい。
「親友に頼まれたんだろ?お前を信じた親友裏切ってんじゃねぇよ。まだ何もしてないくせに勝手に答えを決めつけんな」
親友…俺の生きる理由であり、俺が未来を閉ざしてしまった人。
遠い空の向こうで「相変わらずリカは頭が堅い」とでも言ってるのだろうか。
……こんな俺を今も親友と思ってくれるんだろうか。本能に抗えず、あの小さな手を掴もうとする俺を許してくれるだろうか。
そんな事、考えなくてもわかる。
星一ならきっと「気づくの遅ぇよ」と、悪どい笑みを浮かべるだろう。
「お前は俺が何日も悩んだ事に一瞬でケリ付けんだな」
力なく笑う俺に、桃はそっとタバコを差し出した。
2人で燻らせた煙が宙へ消えてゆく。
柔んだ桃の纏う雰囲気が、全てを投げ出した身体と心に最後の力をくれた気がした。
「なぁ。立ち直れないほど玉砕したら慰めてくれんの?」
情けないほど弱い声が出る。
「その時は朝まで付き合ってあげるわ!もちろん豊も一緒に決まってんでしょ。あんたは俺様リカ様じゃなきゃ!」
「………そこまで言われたら腹括るしかねぇよな」
見えない未来に怯えるよりも
消えない過去を悔やんで嘆くよりも
今ある大切なものを守りたい。
「早く会いてぇな…」
「あんた本当にウサギちゃんのこと大好きなのね」
「うるさい。でもさ、誰かを好きになるって大変なことなんだなって初めて知ったよ」
「あら?もしかしてこれがリカの初恋?」
「なんだよ……笑いたきゃ笑え」
拗ねるように言った俺に、桃が嬉しそうに微笑む。
俺を励まして叱ってくれて…そして嬉しそうに笑ってくれる桃。
桃の笑顔を見た時、なんだか俺も久々に心から笑えた気がした。
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