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「っ、そんな事…許さない。お前なんかより俺の方がいいに決まってる!」
声を荒げた鷹野がケタケタと笑う。
下卑たその笑い声に俺の身体がまた震えだせば、そっとリカちゃんの手が俺の背中を撫でた。
「リカちゃん…」
「あとちょっとだけ我慢してろ」
「離れろよ…。兎丸!俺を選ばないとどうなるか知ってるよなぁ?!いいのかよ、こいつがどうなっても!」
リカちゃんを指差す鷹野の目が狂気に満ちて血走る。
その顔には爽やかさも人の良さも無く、欲にまみれた浅ましい男の顔だった。
「明日の朝には全校生徒に知れ渡ってる!!こいつが生徒に手を出した淫行教師だってなぁ!」
「や、やめ」
咄嗟に止めようと飛び出した俺の身体を、リカちゃんが背後から抱きしめる。
「リカちゃん!!止めないと…っ!」
「何を?」
「アイツ写真持ってるんだ…。俺とリカちゃんがマンションに入ってくのを隠し撮りしたやつ!」
「それがどうかしたのか?同じマンションに住んでるんだからあり得る事だろ」
「…え、なんで?」
簡単に認めてしまったリカちゃんに驚いて振り返った。
口端だけを釣り上げ、ニッと笑う。
「鷹野。お前それが何の証拠になると思ってる?
俺の住所なんて教員名簿に載ってるっつーの」
「2人並んでマンションに入ってくなんて変だろ!」
「別に?たまたま帰るタイミングが同じだっただけ。マンションが同じでも、同じ部屋に住んでるワケじゃない。それぐらいで辞めさせるほど世間はバカじゃねぇよ。
悪いけど、これでも俺そこそこ期待されてるんでね」
「っつ……」
リカちゃんの落ち着いた声が鷹野を追い詰める。
「悪役ぶんのは自由だけど詰めが甘すぎ。
事実を知ってるヤツと知らないヤツ…同じように解釈するわけねぇだろ。
お前さ、どんだけ自分に自信あんの?」
鷹野を小馬鹿にしたリカちゃんの表情には、あきらかな余裕が溢れていた。
言葉を失った鷹野がスマホを握りしめる。
でも…俺は知ってる。
そこには、どう言い訳のしようもない『アレ』があるって事を。
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