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「…お帰り」
「ぉ、おう…」
帰ってきた俺たちを出迎えたのは、拓海でも歩でも、桃ちゃんでもなく…
厳つい顔でお玉を手にした美馬さんだった。
「やだぁ!!!変態教師が帰ってきたわよ!」
リビングから顔を出した桃ちゃんがニヤニヤとリカちゃんを指差す。
「このオカマ野郎…お前にだけは言われたくねぇよ!」
荒々しく部屋へ上がりこむリカちゃんの後ろで俺は気恥ずかしさからそっとリビングを覗き込む。
ソファに座っていた歩と拓海と目が合って手招きされた。
「お帰り」
「リカちゃん先生と仲直りできた?」
「うん…出来た」
タバコを置いた歩が俺を見て微笑む。
「兄貴、スッキリした顔してんな。あんな風に笑う兄貴久しぶりに見た。…いつも死にそうだったからなアイツ」
「はー…なんかリカちゃん先生と歩が兄弟ってのも驚きだけどさぁ…まさか慧とリカちゃん先生が、ねぇ…」
「なんだよ拓海」
俺とリカちゃんを交互に見て、拓海がにっこり笑う。
「だから前に2人はアリだって言っただろ?」
「俺としては兄貴が高校生に手出したって結構ショックだけどな」
「その気持ちはわかる……けど」
好きになってしまったものは仕方ない。
たとえ歩に反対されたとしても俺はリカちゃんと離れるなんて無理だ。
俯く俺の髪を歩がかき乱す。顔を上げれば嬉しそうに笑う歩と目が合った。
「別に悪いとは言ってねぇだろ。そんな顔すんなよ」
「まぁ確かに兄貴と親友がって複雑だよなー!!」
声を上げて3人で笑いあう。
それをカウンター越しに大人組が眺めていた。
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