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「やっば。すげぇ睨まれてるんだけど」
隣に立つ男がクスクスと笑いながら言う。
やばい、と言うくせにその顔はとても楽しそうだ。
「あんだけ顔赤くして睨んでも効果ねぇだろ。
ちょっと遊んでやっただけなのに…ウケるわ」
我が兄ながらここまで性格の悪いヤツも珍しいと思う。
俺も人のことを言えた方ではないけれど兄貴に比べればだいぶと素直な自信がある。
「兄貴さ、慧のこと気にし過ぎじゃね?見てて痒い」
「え、どこが?」
「無自覚かよ。授業ん時もいちいち慧の反応見て笑ってたくせに」
「あぁ。あいつの反応わかりやすくてクセになるよな。」
ニヤッとしては慧を見てからかう。それに反応する慧にまた笑う…そんなことを繰り返す。
あんた授業中に何してんだよ…と言いたくもなるけれど、時折慧のこと見る目が幸せそうに細まり、本当に優しい顔をする。
他の何にも向けることのない、慧だけが特別だと言っているかのような視線。
あぁ、兄貴は心から慧が好きなんだと思った。
フェンスに凭れ立ち、空を見上げている兄貴を再び盗み見る。
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