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俺を落ち込ませるだけだった休憩が終わり、ホールに戻る。
それを待ち構えていたかのように店長が近づいて来た。
「兎丸君戻ってきてすぐに悪いけど5番にお願い」
渡された料理を届けに行く。
その間も俺の頭に浮かぶのは、見ず知らずの誰かと一緒に去っていくリカちゃんの後ろ姿だ。
ほろ酔いのOLに絡まれつつキッチンへ戻る途中だった。
「もぉ!!!遅いわよリカ!」
「なに、桃酔ってんの?面倒くさ…」
「一言目から可愛くないっ!リカが可愛くなぁーいー!」
「豊…桃がウザい」
「俺に言うな」
目を見開き固まる。
一枚隔てた扉の向こうにいるのは…
「獅子原が来てくれると思わなかったわー」
「マジで!ずっと断られてたのに急に来れるって言うんだもん」
「悪い。ずっと仕事が忙しかったんだよ」
確実にリカちゃんだ。
獅子原なんて珍しい苗字にリカという呼び名…。
それに、この声にこの匂い…あの人以外にありえない。
「でもいいのー?ウサギちゃん待ってるんでしょ」
「…別にいいよ。俺だって偶には息抜きぐらい必要」
「…珍しいな」
「これはケンカね」
「間違いなくケンカだな」
「うっせぇよ」
学校とも家とも違うリカちゃんに、俺は柱の影に隠れ耳を澄ませる。
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