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ガヤガヤと話し声のする店内。
それなのに俺の耳は絶対にリカちゃんの言葉を逃しはしない。
「結婚とかそういう形にこだわりは無いかな」
「それモテ男のセリフ!けど向こうは違うんじゃねぇ?」
「そうそう。男に求めすぎなんだよなー…」
求めすぎ……それは、まさしく自分の事だと思う。
もっともっと欲しくて
1つ手に入れたら次が欲しくなる。
こうやって自分の気持ちをコントロール出来ずに上手くいかなくなっていく…そんな恋人たちは多いんだろう。
そうなりたくないのに自分に抑えがきかない。
それなのにリカちゃんは違う。
喧嘩してる今だって俺の事をちゃんと考えてくれてる。
「逆に俺はもっと求めてほしいけど。
アイツに何かを与えるのは俺だけの役目だからな」
「獅子原やべぇ」
「イケメンがイケメンな事言う破壊力すげぇ」
「リカってばメロメロだものねぇ?あたし毎回のように邪魔者扱いよ?」
「疲れて帰ってオカマはキツい」
「だからおネェよ!!そこ間違わないでッ!」
まだ騒がしくなった室内。
俺…ちっともわかってなかった。
リカちゃんはこんなに俺を大事にしてくれてる。
ワガママで素直じゃない俺に付き合ってくれる。
ぶつかる事しか出来ない俺をバカだなって笑って受け入れてくれる。
それなのに俺はリカちゃんの与えてくれる優しさに気づかずに自分の事ばかり。
そんな自分がすごく子供っぽい。
このままここにいたら、泣いてしまいそうだ。
急いでその場を後にした。
クスッと小さく誰かが笑った。
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