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「なぁ歩。シガレットケースってどんなんが欲しい?」
翌日。朝一で歩を屋上に連れてきた俺は、まだ半分寝てるそいつに詰め寄り聞いてみた。
「あ?」
「だからシガレットケースだよ!!」
「入れ替えるの面倒くせぇから必要ない」
「お前の事情なんて聞いてねぇ」
「………ガッツリ聞いてんだろ」
その場にしゃがみ込みタバコの箱を取り出した歩は少し考えた後、1本口に咥えた。
「兄貴がそれ欲しいって?」
「……なんでわかった?」
「んー。あの人らしいなと思って。
どうせ慧の事だから悩みまくって、でも何かしら買うだろ。それなら最初から指定しときゃ慧も選びやすい」
まぁ、そうだけど…。
漠然とした中から選ぶよりも幾分も楽だ。
昨日…玄関で激しくヤリまくった後、リカちゃんは困ったように笑いながら「シガレットケースがほしい」って言った。
わかったって頷いた俺に何度も何度もキスしてくれて…
もう溶けそうなほどに幸せだったなぁ…。
「慧、ニヤけすぎ。
仲直り出来たからってわかりやすいなお前」
「うっせぇな!!つーか、それのどこがリカちゃんっぽいんだよ」
指摘された顔を隠すように頬を両手で押さえ、目だけはしっかりと歩を睨む。
細い紫煙を吐き出した歩は「アホくさい」と言わんばかりに白けた目をしていた。
「あくまでも慧に選ばせる。けど自分の気に入らないものは欲しくない。でもって慧は兄貴の趣味を知ってるから、大外れなデザインは選ばない。な?兄貴っぽいだろ」
理論的でかなり的を得てそうな言葉に何も言えず、パチパチと瞬きを繰り返す。
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