アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
241
-
「ディナーの予約なんだけどさ、キャンセルしたから。
この中から好きなの選べよ」
渡されたメニュー表には和洋中問わずたくさんのメニューが載っていて、さすが高級ホテルだな…と感嘆した。
そして、そのお値段も…まぁ可愛くない。
こんな中から好き勝手頼めるほど図々しくない俺は、そっとメニュー表を閉じる。
「決まったか?」
「……麻婆豆腐」
「は?お前辛いの食えねぇお子ちゃまだろ」
確かに俺は辛いのも酸っぱいのも苦いのも嫌いだ。
そのせいでリカちゃんには散々からかわれ、献立が偏ると文句も言われている。
けれど俺がそれを選ぶのには理由がある。
「好きなんだろ?麻婆豆腐」
前に教室でそう言っていたのを覚えている。
自分も知らなかった恋人の好みを、みんなと同じタイミングで知った時の悔しさも。
さり気なく言ったはずなのに、察しの良いリカちゃんは「あぁ、あの時のか」と何て事ないように頷いた。
「あれ嘘だけど」
その言葉に俺はそらしていた目を勢いよく向ける。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
241 / 1234