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「そんな慌てなくても後でいくらでも見せてやるよ」
「な、何をだよ?!」
「リカちゃんの浴衣姿かっこいいー、写メ撮りたーいって顔に書いてあるけど?」
「思ってねぇよ!!」
ふぅん、と全く信じてない様子で耳元に唇を寄せる。
「俺はお前のものだから好きにしてくれていいのに」
これでもかというぐらい口を歪めるリカちゃんは、浴衣姿だからか普段の数倍、妖艶に笑っていた。
*
夏休みには少し早いとは言え、さすが週末。
観光客が多く気を抜けばはぐれてしまいそうだ。
人より頭一つ大きな美馬さんを目印に俺たちは並んで歩いていた。
時折、拓海の「あれ食べたい!」が聞こえるが、その姿は見えない。
必死に人を掻き分けて歩く。
気づけば少し前にあったリカちゃんの黒髪が見えない。
「リカちゃん?」
周りを見回しても、それらしき人はいない。
もしかしてはぐれた?
みんなに知らせるべきだろうか…それともこのまま探すべき?
迷っていると後ろから伸びてきた腕に強く身体が引かれた。
「え?!な、なに?!」
黙ったまま、どんどん俺を引っ張っていく。
美馬さんの頭が遠くになっていって、とうとう見えなくなる。
そのまま人混みを抜け、その腕の主が止まった。
「はぁ……。マジ人多すぎだろ。
ベタベタ触られて気持ち悪ぃ」
「リカちゃん?」
「あ?」
それは、消えたと思っていたリカちゃんだ。
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