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ふと、後ろを歩いていたはずの友人がいないことに気づいた。さっきまで「うぜぇ」「暑い」と文句たらたらだったはず。
その友人、慧が突如いきなり消えてしまい俺は周りを見回す。
人、人、人。
どこを見ても人だらけで見つかりそうもない。
「あら?歩ちゃん、どうしたのー?」
俺の少し前を歩いていた桃さんが振り返る。
「なんか慧が見当たらなくて…あいつボケっとしてるから迷ったのかも」
本人が聞いたら顔を真っ赤にして怒りそうな台詞。
それに桃さんは、ふふっと楽しそうに笑った。
「大丈夫よ。ウサギちゃん今頃はすっごくイイ所にいると思うから」
「……イイ所?」
わからず首を傾げる俺に、桃さんはニコニコと続ける。
「ほら。だってリカもいないでしょう?」
言われてみれば、美馬さんと歩いていたはずの兄貴の姿もない。
……と、いうことは。
まさかあのSMバカップル……。
「きっと今頃2人で仲良く温泉タイムよ!リカってばマメなんだからぁ!!
2人きりで花火見ながらお風呂!燃えるわ…っ!」
頬に手を当て、ウットリと妄想する姿は若干怖いものがある。それなのに俺は何も言えない。
「さ、あたし達も早く行きましょ。急がないとはぐれて豊に何されるか…………あら?」
「………………もうはぐれましたね」
前にいたはずの美馬さんの姿はなく
隣にいたはずの拓海の姿もなかった。
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