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今までに感じたことのない気持ち。
『こいつでいいか』じゃなく『この人がいい』
それは確かな思いとなって俺の中に落ちてくる。
落ちて広がって、どんどん…どんどん染めていく。
「桃さん。俺、負けないっすから」
丁寧に、けれど目を見てハッキリ告げる。
「羨ましいのは慧なのか兄貴なのか知らないけど。
俺どっちにも負けると思ってないんで」
頭のいい桃さんは意味を理解し、すぐに慌てだした。
「え?!ちょっと…待って待って待って!」
「待ちません。今から本気でいくんで」
「ダメよ!だってあたしよ?10歳も上のおネェよ?!」
「それが何すか」
「何って……。」
言い淀んだ桃さんが顔をそらす。
っつーか…この人の可愛さ絶対あっち側だろ。
年の差とか『そっち』とか『あっち』とか。
そんなの関係ないなって思うんだけど。
「桃さん」
両頬を手で挟み、そらした顔を向けさせる。
絶対にそらさせない。全部奪ってやる。
「俺、どっちでもいいっすよ。好きな人抱くのも、好きな人に抱かれるのも、どっちも幸せですから」
半分本気で半分は嘘。
俺はこの人を苛めて、からかって甘やかしてやりたい。
驚き、瞬きを繰り返すのが面白い。
目を細めその顔を見下ろす。
今の俺はすげぇ生意気に笑ってると思う。
「俺のものになってくれたら、いっぱい可愛がってあげますよ?」
耳元で囁けば、息をのんで固まる桃さん。
こんなに可愛くて面白くて、こんなにも俺を夢中にさせる人はいない。
ずっとこの人を見ていたい。
打ち上がる花火の下、そう思った。
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