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桃ちゃんと揃って風呂を出ると外にリカちゃんが立っていた。
起きて俺たちがいないことに気づいて迎えに来たらしい。
少し跳ねている髪は天然なのか寝癖なのかわからないけど、いつもより隙があるように見える。
「あら。お迎え?悪いわねぇ」
「お前のじゃねぇよ」
憎まれ口を叩きながらもその目は心配そうだ。
それは桃ちゃんの傷を知っているからだろう。
リカちゃんの視線が俺に向く。
伸ばした手が俺の前髪を流すように整え、そのまま後頭部へ回った。
「おはよう。よく眠れた?」
「…うん。まぁ、誰かさんのお陰で昨日は散々だったけどな」
「あぁ……またやらかしたのかよ…。
悪いけど俺、全然記憶ねぇんだよ。
気づいたら朝だし隣に寝てんの歩だし。何がどうなって、あいつを腕枕したのか全くわかんねぇんだけど」
それは完全に出来上がったリカちゃんを歩が引きずって布団に運んだからだ。
雁字搦めに抱きつかれ、最終的に諦めた歩をリカちゃんは決して離さなかった。
抱き枕状態の歩に寄り添って眠るリカちゃん。
それが面白くなかったのは歩だけじゃねぇんだからな。
「今度から気をつけるから許せよ」
苦笑していたリカちゃんの顔つきが変わり、俺の頭を撫でる手が止まる。
そして俺の手を取った。
「桃。悪いけど朝飯は4人で行って」
「え?」
「俺は今からご機嫌とり」
俺の手を引いて歩き出すリカちゃん。
後ろで桃ちゃんのため息が聞こえたけれど、俺は振り返れずにただ引かれるまま付いて行った。
しばらくして着いたのは、ロビーの奥にある小さな休憩所。ベンチと自動販売機…それに灰皿だけが置かれてる。
置いてあるベンチに座ったリカちゃんが、自分の隣を叩いて俺に座るよう促す。
大人しく従った俺の手を、見えないようにそっと握る。
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