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「俺は…ウサギに会わなかったら誰も好きになんてなれなかったろうな」
「サラッと言ってるけど、だいぶ重たいわよ」
「わかってる。本人はそれでも不安みたいだけどなー」
リカの愛し方は分かりづらくて分かりやすい。
特別とそれ以外がハッキリしているから。
自分の全てを捧げる代わりに相手の全てを奪う男。
あたしには到底、真似できそうにない。
「類は友を呼ぶって言うけど歩もかなり頑固だからな。
まぁ歩は冷静な分マシか」
信号待ちでタバコに火を点けたリカは何かを思い出すかのように続ける。
「お前さ、いつから自分のことを?とか考えてるだろ」
ハンドルを握りなおしたリカが一瞬だけこちらを見る。
「1つ教えてやる。
結構前からアイツはお前のこと気にしてたぞ」
「…嘘よ」
「俺が嘘ついて何の得になるんだよ。
あいつは興味持ったらそれしか見ないやつなんだよ。
自分とは真逆のお前に目を付けた理由ってそれだろ」
「興味って、」
「見てる分には飽きないからな。大方、反応が楽しくて苛めたい…ってとこじゃねぇの。
好きな子は苛めたいってシンプルでわかりやすいな」
「アンタ達どこまで似てんのよ…」
恋愛は理屈じゃない。時間も関係ない。
そんなことわかってる。
けれど、わかっていても越えられない壁がある。
「俺も結構考えたけど……正直、今でも正しいのかって聞かれると迷う」
車を走らせながら話すリカの横顔は真剣で、それでいて少しだけ切なく見えた。
「あいつに与えてやれるものより、奪ってしまうものの方が多い。手放してやるべきなんじゃないかって頭ではわかってても気持ちが追いつかねぇよ」
これはリカの本音…なんだろうか。
いつも本心を隠してしまうからわからない。
「あんたの選択肢に身を引くってあるのが意外だわ」
「あいつら高校生に比べて俺たちは大人になり過ぎた。
今まで経験してきた事が吉となり凶にもなる。
俺もお前も抱えてるものが大きすぎるもんな」
ゆっくりと進みだした車が、次第に速度を上げていく。
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