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「俺とお前は似てる。
ウサギが俺を受け入れたように歩もお前を、」
「そんなんじゃない」
リカの言葉を遮るように声を上げた。
バックミラー越しにあたしを見るリカの瞳が、あまりにも眩しすぎて見ることができない。
「あの子に話すつもりはない」
「桃。」
「あたしとリカは似てなんかない。
だって…あたしは自分の手で壊したもの……」
思い出すのは日ごとに笑わなくなった彼の姿。
何かを言いかけた唇は閉じ、いつの間にか反対を向いていた2人。
自分の事ばかりで彼からのサインに気づかなかった。
「きっと同じことを繰り返すに決まってる」
瞼に浮かぶ彼を消したくて思い切り目を瞑る。
そうしなければ、自分が押し潰されてしまう。
「そうだった。お前も大概頑固だったな。
なぁ。前に俺に言ったこと覚えてるか?」
耳に入ってくるリカの声は穏やかで落ち着いていた。
「臆病者…自分の都合ばっかり、あとはウジ虫とも言われたっけ」
「そこまで言ってないわよ」
「そっくりそのままお前に返すわ。
今のお前すっげぇヘタレ。この状況に酔いしれてて、かなりウザい」
それは悩んでいる友人に対して言う言葉だろうか。
追い打ちをかけるリカはクスクス笑いながら続ける。
「そんなに嫌なら思い切り突っぱねてやれよ。
あのクソガキが素直に言うこと聞くとは到底思えねぇけどな。言っとくけどガキな分、俺よりタチ悪いぞ」
「アンタはどっちの味方なの」
前を向きながらも、楽しそうに笑う友人を睨む。
楽しそう…じゃなく完全に楽しんでる。
それがわかって更に憎たらしさは増す。
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