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車を降りた途端、桃ちゃんに近寄って行った歩。
歩と向き合った桃ちゃんの表情は見えなかった。
それをぼんやり眺めていると俺の隣に来たリカちゃんが顔を覗き込んで来る。
「車酔いしてねぇ?」
「……っ?!近いわ!!」
「声かけても反応しなかったから。てっきり酔ってんのかと思った。俺が前走ってたから豊もキレなかっただろ?」
俺の頬を撫でたリカちゃんが美馬さんを振り返る。
そこには、さっきまで凶悪な顔をしていた美馬さんがいる。
根っから真面目な美馬さんは、交通ルールにやたら厳しく、周囲の車が違反しようものなら罵倒という罵倒を重ねる。
見ているこちらが「やめてやって!」と泣きそうになる程に。
「子守お疲れー」
「あのオカマに比べたら可愛らしいもんだ。お前こそアイツ大丈夫だったか?」
「なんかヘタってる。たまには静かになっていいだろ」
「相変わらず荒治療だな…まぁその方が手っ取り早い」
2人の会話の意味がわからない俺。
同じく拓海も目を瞬かていたが、興味を失った今はキョロキョロと周りを見回していた。
するとリカちゃんが俺の腕を掴んだ。
「豊。悪いけど鳥飼頼むわ。俺らちょっと回ってくる」
「え?!」
それに驚いたのは拓海だ。
気づけば歩と桃ちゃんの姿はなく、残ったのは俺ら4人。
いくら拓海が人懐っこくても美馬さんと2人きりは……
「豊さん!あっちのアイス食いに行こう!!!」
…うん。そういうヤツだった。
背の高い美馬さんと並ぶ拓海は余計にチビに見える。
キョロキョロしまくって、時折美馬さんに注意される拓海。いつの間にか仲良く?なっていたらしい。
「ということで。少しだけどデートしますか」
俺の腰を引き寄せたリカちゃんが笑う。
「お前………車の影だからって調子乗んなよ」
「はいはい。嬉しい時は正直に喜べよ」
「人の話聞けよ!!」
相変わらずなリカちゃんのペースに巻き込まれ、俺の頭はリカちゃんで一杯になっていた。
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