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「見て見て。お前にそっくりなの見つけた」
売店を物色していると、フラッと消えたリカちゃんが手に何かを持って戻って来た。
握られているのは、腕組みして怒っているウサギが付いたボールペン。
絶対邪魔にしかならないマスコットをなぜ付けたのかが気になる。
「この生意気そうなのが似てると思わねぇ?」
「思わねぇよ」
「慧君はセンスが無いね」
バカにされてるとしか思えない。
鼻歌なんか歌いながら、どのウサギが1番俺に似てるか選ぶリカちゃん。
どれも同じに見えるその中から1本を選び出し、満足そうに笑う。
「俺これ買おっと。お前もいる?」
「なんで俺がいると思うんだ…」
「じゃなくて。ほら、こっち」
そう指差す先には、他の動物もいる。
どうやらシリーズらしくパンダやクマ、ヒヨコやネコ、様々な動物の付いたボールペンとシャーペンが並んでいた。
「ほら。ライオンあるぞ」
「ライオン……」
それが何を意味してるかは痛いほどわかる。
兎丸でウサギ。獅子原でライオン。
「まさか…だよな?」
「さり気なくお揃いって良くない?」
まさかの、まさかだった。
旅行先でお揃いの物買うなんて、お前は何歳だと聞きたい。ましてやウサギとライオンなんてバレた時どうするんだって感じだろ。
「どうせ俺は授業中は使わないし」
「だからって…恥ずかしくないのかよ」
「別に。人がどんなペン使ってるかなんて、いちいち気にしねぇよ。自意識過剰だろ、そんなの」
それはそうだが、お前は別なんだよ。
リカちゃんが髪型を変えたり、メガネを掛けてるだけで騒ぎになるんだから。
スーツを着たリカちゃんがスカした顔でウサギのペン使ってる……なんて見かけた日には変な憶測が飛び交うに違いない。
靴下に続き、これもギャップ萌なんだろうか。
「うん、これだな。この柔らかそうなほっぺたとスベスベの肌がお前そっくり」
満足げにウサギペンを握る姿からは窺い知れない。
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