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「なんでこっち見ないんすか」
俯いてばかりで顔を上げようとしない桃さんに話しかける。
けれども何も返ってこない。
兄貴たちが話している隙に、桃さんを半ば無理やり連れてきた俺は…これまた強引に観覧車へと引きずり込んだ。
お人好しの桃さんが押しに弱いのを利用した。
多少の罪悪感はあるものの、こうでもしないとこの人は俺を避ける。
朝の一件以来…俺を見ようともしない。
それに傷つくよりもイライラした。
「桃さん」
余りにも上げられない顔に思わず手を伸ばす。
すると大げさなぐらいビクつき身体を仰け反らせた。
「え…」
今のはキタかも…まさかここまで嫌われたなんて…。
と、思っていたら桃さんから出た言葉は想像とは全く違うものだった。
「こっち来ちゃダメ!動いちゃダメ!!!」
「……は?」
「ダメよ!息も止めてて!!!」
必死に俺を近づけまいとする、その姿。
顔を上げなかったんじゃなく…上げられなかった?
その理由は簡単。
「もしかして高い所怖いんすか?」
上目遣いで俺を睨んだ桃さんが、ゆっくり…そして小さく頷く。
その仕草ですら可愛くて仕方ない。
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