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「…っふは」
堪えようとした声が漏れ、肩が震える。
それに気づいた桃さんが顔を更に険しくさせた。
「バカにしないで!年下のくせに生意気よ!!」
「バカにしてるわけじゃなくて……っクク…」
「あたしは怖いんじゃなくて苦手なの!
誰にでも苦手なものはあるでしょ?
それにもう慣れたから平気だしね!!」
平気と言いながらも、絶対に外は見ない。
黙り込んでいた理由が自分じゃなくて安心した。
慧には余裕ぶった事を言っていても本当は不安だった。
本気で避けられてしまったら俺にはどうしようもできない。
大人であるこの人に、まだ高校生の俺は敵わない。
…今はまだ、だけどね。
「そうっすね。実は俺、高いの苦手なんすよ。
だからそっち行っていいですか?」
「だっ、ダメ!!」
「えー…怖いなぁ。怖くて堪らないなぁ」
「絶対に嘘でしょ!」
腰を上げ移動しようとする俺に、させまいと手を突っぱねる桃さん。
男2人が動くことにより狭いゴンドラが揺れる。
「ひっ……!!それ以上近づくなら…っ、」
「近づくなら?」
どうするんだろう。
怒る?まさか殴る…はないだろうけれど。
桃さんの答えは俺の想像を遥かに超えた。
「歩ちゃんとは絶交よ!!!」
叫ぶように言い放った桃さんに俺はとうとう笑いが堪えられなくなった。
26歳にもなって絶交なんて使うか?
どこまでも俺の意表を突いてくる桃さんは、狙ってるとしか思えない。
自分に近づくなと言いながら思い切り突き放しはしない。
優しすぎるところは、桃さんの長所でもあるけれど弱点でもあると思う。
そして俺がそれを見逃すはずがない。
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