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「近づいたら絶交……んじゃ近づかなかったら?」
俺の言葉に桃さんが不思議そうに首を傾げる。
「高い所我慢しておとなしく座ってたら何かご褒美くれます?」
にっこり笑えば桃さんは少しだけ顔を赤らめる。
うん、やっぱり桃さんはこの顔に弱い。
前に兄貴のことをイケメンだとか言ってたから予測はしていたけれど、俺の顔でも効果はあるらしい。
「何言ってるのよ…」
「だって不公平じゃないすか。俺は近づいたら絶交されんのに桃さんには何も無いのって」
「そんな屁理屈、」
「じゃなくて交換条件でしょ。
近づいたら絶交…それなら近づかなかったら何してくれます?」
桃さんの目が訝しげに俺を映す。
それを見ながら俺は笑顔のまま続けた。
「このままおとなしく座ってたら、桃さんの次の休みに俺とデートしてよ」
「へ?!」
「それが嫌なら今すぐそっち行きます」
腰を上げれば慌てたように手を振り騒ぐ。
「やややややめて!落ちる!落ちるから!!」
「なら約束」
「しない!」
「じゃあ行く」
「ダメ!!!!」
ゴンドラの真ん中に立ち、桃さんを見下ろした。
怖がってるのは可哀想だけれど…俺だって必死なんだ。
今動かなきゃこの人は永遠に手に入らない。
「デート、してくれますよね?」
ちょうど1番上に着き、俺たちの視界にはお互いと空しか映らない。
観念した桃さんが…小さく、けれど確かに頷いた。
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