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「どう?」
拓海の選んだ服を試着した俺に、拓海が言ったのは…
「リカちゃん先生に似すぎててやべぇ!」
「…………それ褒めてんの?」
「すげぇ褒めてる!!その格好で慧に会ったら絶対にあいつ見惚れる!」
全然嬉しくない。こんな所でもあのバカなSMカップルの事を考えないといけないなんて…。
ふと、鏡に映った自分の顔を見た。
自分ではそこまで兄貴に似てるとは思わない。
俺はあんなに性格悪くないし、偉そうでもないし、クソ寒くもない。
あんなバカみたいにキザな事を言ったり…してない、はず。
「いや、言ってるか…」
ボソッと呟いた言葉に拓海が首を傾げる。
「兄貴と似てるって喜ぶべきか?」
「素直に喜べよ。リカちゃん先生、最近じゃ色気垂れ流しで目があったら妊娠するって言われてんだぞ」
「……それなら慧はずっと妊婦じゃねぇかよ」
我が兄貴ながらすごい言われようだ。
それだけ影響力を持つって…いい意味なのか悪い意味なのか微妙なところだ。
けれど、あいつは気にしてないんだろう。
「なぁ。俺ってどんなヤツ?」
何気なく聞いた俺に、拓海は持っていたTシャツから視線を上げる。
「お前、なんか今日おかしくねぇ?」
「いいから答えろよ」
うーん…と唸りながら考えていた拓海が口を開く。
「…偉そうだし段々性格悪くなってきてるし同い年とは思えねぇよ」
「……っは。俺もすごい言われようだな」
「けど…実はいいやつ。
俺、歩と慧のことすっげぇ好き」
なんでも表情に出る拓海はわかりやすい。
自分の思い人もこれだけ素直ならいいのに…
どうしようもない事を考えながら、俺は試着室に戻った。
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