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買い物を終えた俺たちは適当に夕飯を済ませて駅へ向かう。
「なぁ、そっち家とは逆方向じゃね?」
「まぁまぁ。たまには散歩もいいだろ」
不思議そうにしながらもおとなしくついてくる拓海を引き連れ、降りたのはビジネスビルが建ち並ぶオフィス街。
前に兄貴に聞いた、桃さんの事務所がある駅だ。
ちなみに桃さんの仕事がまだ終わってないのは兄貴に頼んで確認済み。
全て俺の作戦だった。
……あいつに借りを作るのは癪だけどな。
駅前の広場にあるベンチに座りぼんやりと人の流れを眺める。
「歩!いい加減教えてくれよ!!」
「うっせぇなぁ……あ、いた」
駅へ向かってくるサラリーマンの中に、探していた人を見つけた。
淡い茶色に染めた髪に細身のスーツに身を包んだ彼。
弁護士が茶髪でいいのかと以前聞いた時、この方が人当たり良さそうに見えるから…と答えていたのを思い出した。
「ん?あれって桃ちゃん?」
「そう。ここでお前の出番だ」
ドンっと拓海の背中を押し、桃さんの前に突き出す。
「おわっ!!」
「あら。たっくん…?」
足を止めた桃さんが拓海を見て、そのまま後ろに立つ俺を見る。その目が驚きで大きく開いた。
「こんばんは。桃さん」
「あゆ、むちゃん……」
きっと俺だけじゃこの人は止まってくれない。
俺1人で来ていたらあしらわれるのがオチだったろう。
「誰かさんが無視してんじゃないかと思って直接来ちゃいました」
「…!!」
その顔は当たりだな。
自分の読みが全て当たってほくそ笑む。
「本当に食えない子…」
「作戦ですよ、作戦」
1人理解できてない拓海を間に、俺と桃さんの視線がぶつかった。
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