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そして日曜日がやって来る。
1人の少年にとっては待ちに待った、1人の青年にとっては来るなと願った日曜日。
***
朝早くから洗車に出かけたリカちゃんを見送り、俺は二度寝という惰眠を貪っていた。
意識が次第に覚醒していく中、遠くの方で何かがなっている。
電話かと思ったそれは、どうやらインターホンのようで映し出された画面には拓海の姿があった。
「ーはい」
『慧、俺』
「んなの映ってるから知ってる。今開けるわ」
すぐに俺の部屋まで来た拓海は、いつもなら手を振って煩いのに今日はやけに静かだ。
今もぼんやりとベランダから外を眺めている。
「なぁ慧。リカちゃん先生は?」
「車の掃除しに行ったけど。なに、リカちゃんに用事?」
珍しい。
そう思って聞くけれど、首を振って否定された。
「なぁ慧ー」
「ん?」
「リカちゃん先生のどこが好きなの?」
ストレートに聞いてくる拓海の顔はいたって真剣で、歩みたいにからかってやろう…なんて思っていない事がわかる。
「どこって……わかんねぇよ」
「わかんない。それって本当に好きなのか?」
「そうじゃなくて。どこが好きとかいちいち考えるか?
全部って言ったら嘘になるけど、ここが好きとかあげるのは出来ねぇ」
そっか…と呟いた拓海がソファーまで歩いてきて隣に座る。それもなぜか体育座りで。
「お前どうした?」
「……わかんない。わかんなすぎて頭痛くなる」
「はぁ?そんなん病院行けよ」
なんで俺のとこに来たんだよ?
拓海が違う違うとヘラヘラ笑う。
「でも、なんとなくわかった気がする」
「……俺は何にもわかんねぇ」
「なぁ。もしも、もしもの話だけど…」
俺を見る拓海の目は今までに見たことないぐらい強い。
「もしもリカちゃん先生に他に好きな人がいたらどうする?」
「え?」
「忘れられない人がいる、とか言われたら慧ならどうする?」
繰り返す拓海は、やっぱり何を考えてるのかわからない。
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