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「……はぁ」
なんとなく状況が飲み込めた俺は、特に反応することもなく着替える為に部屋へ向かう。
その後ろでは「さすがリカの弟」という美馬さんの声が聞こえた。
リビングへ戻ると数分前と何ら変わりのない3人。
空いてた兄貴の隣に座り、テーブルに手を伸ばす。
「当たり前のように吸うなよ」
「あ?どうせ同じタバコなんだからいいだろ」
チラッと美馬さんを見ると、若干眉を顰めているが俺がタバコを吸うのを止めるのは諦めたらしい。
それに少し安堵し、視線を桃さんに移した。
「ーっ!」
大げさにそらされてしまう。
一体何しに来たんだよ……きっと言い出した張本人であろう隣の男を睨んだ。
「なんだよ」
「それはこっちの台詞なんだけど。
余計な事すんなって俺言ったよな?」
「わかったとは言ってないだろ」
ああ言えばこう言う…屁理屈ばかりで理不尽なヤツ。
フンと鼻で笑われたのが悔しくて蹴りたくなった。
けれどそれを止めたのは、やっぱり保護者の言葉だ。
「このクズがグダグダ言うから連れてきた」
「ちょっと!!!本人の目の前で悪口はやめ、」
クズ呼ばわりされた桃さんが声を張り上げ…黙る。
一応は気を遣っているらしい態度に少し気分が和らいだ。
「悪い事したら謝る、ウチの園児でもできるのにな」
「ハッ…桃は幼稚園児以下だな」
2人に畳み掛けられ、助けを求めるように俺を見る…けれどすぐに視線をそらす。
今までだったら「歩ちゃーん!!」なんて呼ばれてたはずなのに。
「歩ちゃん助けてーっ!」とか言って俺の後ろに隠れてたのに。
「歩ちゃん」
そう、こんな風に嬉しくもない『ちゃん』付けなんかしてくれて。
でもこんな風に窺うような目はしない。
「……昨日は大人げなくてごめんなさい」
こんな風に言い辛そうな声なんて出さない。
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