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目線は床に向いたまま、けれど確かにそう言った桃さん。チラッと俺を見て数秒して固まる。
「人が謝ってんのに…なんで笑ってんのよ」
「いや、なんつーか……あー…」
そうやって膝抱えながら上目遣いなんてされたら…男としては、…グッとくる。
兄貴と美馬さんさえいなけりゃ絶対抱きしめてたのに。
桃さんを連れてきてくれたとはいえ、今は2人が邪魔でしかない。
隣でニヤニヤしてる男は特に。
「とにかく!謝ったんだからいいでしょ?!」
「ダメだ」
「なんでよ?!」
美馬さんに一蹴された桃さんが即座に聞き返す、が。
「バイト帰りで疲れてる歩君に飯でも作ってやれ」
「はぁ?!なんで、」
「お前は手上げといて謝るだけで済むと思ってんのか?」
「しかも相手は未成年な。俺の可愛い生徒で可愛い弟を殴っといて謝るだけ…ってお前俺のことなめてる?」
至極当然のことを言っている美馬さんと、俺の為なのか自分の為なのかわからない兄貴。
ぶが悪い桃さんは悔しそうに顔を歪め、2人から視線をそらせる。
「……こいつらが揃うと最悪」
少し素が出た後、俺に向く桃さんの視線。
本当はバイト先で賄い食べたけど。
なんだか嬉しい展開だから黙っとこうと思った。
「お腹、空いてるの?」
桃さんの問いかけに返す返事はもちろん
「すっげぇ空いてます」
これに決まっている。
少し残念そうな桃さんは諦めたように立ち上がる。
そして美馬さんを見た。
「……わかったわ。すぐ作るから待っててちょうだい」
「俺は無理。鍵担当で明日早いから帰る」
立ち上がった美馬さんは即座に断る。
「じゃあリ…」
「無理。家でウサギが泣いてるから」
「泣いてないでしょ!!」
「あ、違った。帰ったら啼かせるの間違い」
同じように兄貴もそれに続く。
出て行く2人がリビングの入り口で振り返った。
その視線はどちらも桃さんに向くが、それぞれの表情は全く違う。
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