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いつも通り午前の授業を適当に受け、昼休みがやってきた。
例のごとく拓海と慧と並び屋上へと向かう。
「そろそろ屋上も暑くなったよなぁ」
「もう夏だからな」
「…焼きウサギって美味そうだよな」
「てめぇサラッと人のことバカにしてんじゃねぇよ。
牛と鳥の方が美味いに決まってんだろ」
強い日差しが肌を焼く季節まであと少し。
そうなれば俺たちは屋上には行かないだろう。
重たい屋上の扉を開き、拓海と慧に続く。
やっぱり暑い。そろそろ避難場所が必要だ。
「まぁ今年はちょうどいい場所あるんだし」
涼しくて一服もできる最高の場所が俺たちにはある。
「へぇ。それってまさかウチじゃねぇよな?」
俺たち3人だけの場所に、なぜかいる人物。
扉の近くにもたれ、見せつけるように足を組んでいる。
ピンストライプのスーツを着ているせいか余計に長く見えた。
「言っとくけど私物化はさせねぇからな。俺はオンとオフはきっちり分ける男なんだよ」
「………その台詞すげぇ説得力ねぇんだけど」
白けた目で見る俺を鼻で笑い、兄貴はスタスタと歩いていく。もちろん慧の隣に。
当たり前のように隣に来た兄貴に、慧の顔が少し綻んだ。
今朝だって一緒に過ごしていたはずなのに…相変わらずのバカップルぶりに、ほとほと呆れてしまう。
「リカちゃん先生なんでいんの?」
「気分」
拓海の問いかけに兄貴はそう答えた。
……お前は本当に教師か。
その外面の良さ…マジで二重人格だと思う。
当の本人は他人になんて思われてるか気にもしていない。
そもそも、こいつが他人の目なんか気にするわけがない。
「なぁ歩。リカちゃん先生ってちゃんと仕事してんのかな? もしかしたら誰かパシリにしてサボってんじゃ…」
耳打ちしてくる拓海に適当な相槌を打って腰を下せば、目の前には慧の頬っぺたを摘んで遊ぶ愚兄の姿。
「痛いって!」
「お前3時間目の数学寝てただろ」
「なんで知ってんだよ!お前その時間は授業あんだろ!」
慧…お前こそ兄貴の授業時間をなんで把握してんだよ。
そう言ってやりたい…が、言ったところでこのバカ2人は何も思わないだろう。
「拓海。さっさと食って戻ろう、暑苦しい」
「確かに今日は特別暑いよなー」
「今日もだろ。このまま爆発してくれればいいのに」
「爆発?!え、暑かったら爆発すんの?」
バカな拓海を無視してコンビニの袋を漁る。
目の前では相変わらずの2人が、熱すぎる視線を交わしながら見つめ合っていた。
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