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運ばれてきた料理を食べつつ、前の彼を盗み見る。
「明日はバイト休みなの?」
そう聞くあたしに歩ちゃんはスプーンを咥えたまま首を振る。
「…それなら無理して来なくていいのに」
「無理じゃないっすよ。どうせ昼過ぎまでだし」
どんどん無くなっていく皿の上のオムライス。
さすが高校生…食べるのが早い。
それにしても…。
「グリンピース、苦手なの?」
端に避けられている緑色の物体。
器用に全てを避けながら食べ進んでいたらしい。
「………別に」
その仕草が可愛くて頬が緩んでしまう。
「ふふっ。お子ちゃまなんだから。
グリンピースぐらい食べなさいよ」
「…食べなくて死なねぇし」
「その言い訳もお子ちゃまね」
少しお行儀が悪いけど、皿の上に転がるグリンピースを指で摘み食べてあげる。
「ほら。あたしは食べれるもの。大人ですから!」
「……その行動がガキだろ」
「ふふんっ。悔しかったら食べてごらんなさいよ!
こうやって…」
もう一度同じように摘み、見せつけるようにする。
そのあたしの手首を掴んだ歩ちゃんがニヤッと笑った。
「そんなに言うなら食べてやるよ。今すぐにでも」
逸らさない目、指先に感じるのは仄かな温もり。
さっきまであったはずの若草色が指から消えた。
「ごちそーさま」
悪戯な瞳が間抜けに驚いているあたしを映す。
「ッ!!人前で何してくれんのよ!」
「え?食べてほしかったんじゃねぇの?」
「自分で食べなさいよ!!!」
人をドキドキさせて、ハラハラさせるのが上手い。
とても駆け引き上手な子だと思う。
「あーんしてくれたら食べます」
「しないわよ!」
「えぇ……兄貴と慧ならしてそうなのに」
「それ関係ないわよね?!」
いつの間にかペースに乗せられ、食事は進んでいく。
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