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一度だけしか行ったことのない場所。
それでも躊躇うことなく向かう足。
今からあたしがすることは情けないことなのに何故か心は晴れやかだった。
人間、振り切ってしまえば無敵になれるものなのかもしれない。
「かと言って部外者が勝手に中に入っちゃうのはダメよねぇ…」
もう放課後なのか辺りには男子校生がたくさん。
いつものあたしなら騒いでるところだけど今はそれどころじゃないの。
「うーん…どうしようかしら。
電話も出ないし八方塞がりだわ」
連絡も付かなけれりゃ今どこにいるのかもわからない。
今日がバイトなのかも知らない。
自分の考えの浅はかさに呆れた。
校門の影から出て、辺りをウロウロしてみる。
傍から見たら確実に不審者だ。
「桃ちゃん?」
立ち往生しているとかけられた声。
校門から出てきたのはウサギちゃんとたっくんだった。
「どうしたの?リカちゃんなら今…」
「歩ちゃんは?!」
遮るように言えば驚いたのはウサギちゃんだけ。
たっくんは全く動じずにあたしを見つめている。
「歩ならいないよ。1日ずっとサボってリカちゃん先生にお説教されてる。その理由は桃ちゃんならわかるよね?」
たっくんの大きな目があたしを責める。
身に覚えがありすぎて何も言えないじゃない…。
「歩に何の用?
言っとくけど歩ああ見えて打たれ弱いんだから」
珍しく棘のある言葉にもしかして…と嫌な予感がした。
「たっくん…もしかして」
「せっかく俺が寂しいの我慢してやろうと思ったのに!!
3人のうち1人だけ取り残される俺の気持ちわかる?!」
「……あら?」
「くっそ!結局俺だけ置いてけぼりかよ!!」
もしかして、たっくんも歩ちゃんを好きなのかと思ったのに。何その可愛すぎる理由。
すごく思いあってる彼らが微笑ましい。
だから、あたしも答えなきゃいけない。
まだプンプンと頬を膨らましているたっくんに得意のウインクを決める。
「あたしの王子様捕まえに来たの。
案内してもらえるかしら?」
ニカッと笑ったたっくんに不思議そうなウサギちゃん。
これでもう引き返せない。
柄にもなく心臓が今にも飛び出しそうに激しく高鳴っていた。
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