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「悔しいけど、あたしの負けね。降参よ降参」
頬に触れる歩ちゃんの手をとり、そっと指を絡ませる。
「10歳も年下で意地悪で本当に生意気。それなのに気付いたら好きになっちゃったみたい」
散々逃げ回ったくせに手のひら返して言っちゃった。
あたしなりに迷って悩んで決心したゆえの告白。
見上げた歩ちゃんはにっこり笑って絡ませた指を握り返してくれる。
あぁ、これで晴れてカップル!
まだまだ問題は残っているけれど、これからはあたしが引っ張っていかなくちゃ!!
「ねぇ、桃さん」
「なぁに歩ちゃん?」
あたしの可愛い可愛い恋人は、その整った顔に蕩ける笑顔を浮かべ…………はせず冷ややかに笑う。
「みたい…って何すか」
「………え?」
「みたいって後悔してんすか?
そんな余計な言葉付ける意味マジわかんねぇ。
俺そういう中途半端なの大嫌いなんですよ」
「………えっ、えぇっ?!」
一世一代の告白のはずがガラリと変わってピンチ到来。
う、嘘でしょ…?あんなにムードたっぷりだったのに、今や険悪通り越して蔑まれている自分。
あたしの手を振りほどいた歩ちゃんが立ち上がり、扉へと向かって行く。
「ちょ、歩ちゃん?」
「なんかもういいや。はっきりしないの嫌いだし面倒くさい。そういうのって疲れる」
その横顔は冷たい。
とても冷たくて、まるで知らない人のようだった。
最後の最後で年上のプライドを捨てることができなかった…だけなのに。
少しだけ負け惜しみが篭っちゃっただけなのに!
「待って待って!!違うの!」
「もういいですって。どうせ高校生なんて本気で相手になんかしないでしょうしね」
「そうじゃなくて…っ!」
「こんだけ雰囲気作っといて『好きになっちゃった』ってなに?その上『みたい』まで付いてるし。
バカにすんのもいい加減にしてもらえます?」
もう扉はすぐそこ。
歩ちゃんは怒って許してくれそうにない。
「歩ちゃんっ!!!」
あたしの大声に振り返った歩ちゃんに飛びつく。
思わず尻もちをついて座り込む身体に必死にしがみついた。
「みたい、なんかじゃなくて好き!!!
もう好きすぎてドキドキしちゃうし、一緒にいると触りたくなっちゃうし、触ったら止まらなくなるし…でも触りたくて仕方ないしっ!もう大好きっ!!!!」
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