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「おいで」
俺の手を取り、部屋の中へ入る。
真ん中まで来たリカちゃんが躊躇なく寝転んだ。
驚いて俺は瞬きを繰り返す。
それを見上げるリカちゃんは不思議そうだ。
「なに?」
「いや……汚れるとか気にしねぇの?」
誰よりも綺麗好きのくせに何してるんだろう。
「あぁ。大丈夫、昼休みに掃除したところだから」
「は?」
「床も窓も全部掃除してるから安心していいよ」
…いや、マジで何がしたいのかわからない。
「疲れてる時にさぁ、こうやって何もないところで寝転ぶのっていいんだよ。何も考えたくないなー…って時とかおすすめ」
そう言いながら目を閉じてしまう。
まるで寝ているかのような姿。
なんだか知らなかったリカちゃんの一面を見れた気がする。
「俺も寝る」
リカちゃんの隣に寝転がれば、こちらに身体を向きなおしたリカちゃんと目が合った。
いつも上にある視線が同じ位置にある。
それはなんだか不思議で、けれど嬉しい。
同じものを同じ高さで見れるって嬉しいんだ。
「なぁリカちゃん」
「んー?」
「リカちゃんのこと話して」
何となく気になった。
例えばどんなスポーツをしてたとか、どんなバイトをしたとか。
どんな所で遊んで何をしてたとか。
そんな、たわいもない話が聞きたかった。
だってリカちゃんは何も話してくれないから。
聞こうとしなかったのは俺だけど何も知らないから。
俺は目の前にいるリカちゃんしか知らない。
知り合った時から今この瞬間までのリカちゃんしか知らないんだ。
「何が知りたいの?」
リカちゃんの伸ばした手が俺の髪に触れ、毛先で遊ぶ。
いつもよくする癖。
先生という仮面を取ったリカちゃん。
そんなリカちゃんの全部が知りたい。
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