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2人と買い出しを済まして家に戻れば帰ってきたリカちゃんの姿があった。
軽くシャワーでも浴びたのか香水じゃなく石鹸の香りがして、後ろで緩く纏めた髪から漂う匂いにドキッとした。
袋を提げてキッチンに入れば、それを追ってくるかのようにリカちゃんがやってくる。
「お帰り。ちゃんとお遣い出来た?」
「それぐらい余裕に決まってんだろ」
とか言いつつ、ほとんど拓海に任せたけど。
俺と歩は後ろを付いて回っただけだ。
余分な物を買おうとする俺達に拓海が何回怒ったかわからない。
「見てみろよ。買い忘れなんて絶対無いから」
「さすが慧君。んじゃご褒美あげるからおいで」
ご褒美とやらは合わせるだけのキス。
2人が見てない隙を狙って落とされたそれに、意表を突かれた俺は俯き顔を隠した。
「なに?ドスケベな慧君はこんなんじゃ足りないって?」
「バカかてめぇ。見られたらどうすんだよ」
「もちろん開き直ってディープキス」
照れることを知らない前向き野郎に聞いたのが間違いだった。
ふふっと笑いながらも俺から袋を取り上げ、シンクに乗せる。
重たかったはずの袋なのにリカちゃんは余裕そうに持ってしまう。
それが悔しくて脇腹を軽く抓れば、カウンターの向こうから「イチャついてねぇで用意しろよ」と歩の冷静な声が聞こえた。
「あいつ最近さらに偉そうだな。1回シメるか」
「リカちゃんが言うと冗談に聞こえねぇ」
「大マジだからな。」
弟だからって関係ないこの男が俺に甘い?
そんなのあるわけ無い。
寧ろ…
「ウサギは邪魔だから向こう行っとけ」
「俺だって手伝うぐらい、」
「向こう行ってろって聞こえなかった?
それともワザと反抗してお仕置きしてもらおうとしてんの?」
ほら。全然甘くねぇし……。
ムッとして睨みつけてもリカちゃんは全く動じない。
それがまた悔しくて、でもそういうところが大人を感じさせる。
ガサガサ袋を漁りながらリカちゃんが俺に聞いてくる。
「ウサギは魚以外に何巻きたい?」
「肉」
すかさず答えたのは歩だ。
いつの間にかカウンターにもたれながらタバコを吸っている。反対の手にはビールが握られていて、油断も隙もない。
「お前に聞いてねぇよ。っつか堂々と酒飲むな」
ハァ、とため息をついたリカちゃんに歩は見せつけるようにビールの缶を揺らした。
もう諦めているリカちゃんは、それ以上何も言わない。
「なんで慧にだけ聞くんだよ。
あんまり特別扱いしないでもらえますー?」
嫌味っぽく言った歩。
「それは無理。特別なやつなんだから仕方ない」
自信満々に言い切るリカちゃん。
何も言い返せなかった歩が俺を見て面白くなさそうに視線をそらした。
…まぁ少しは甘やかされてるのかもしれない。
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