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綺麗好きで完璧主義なリカちゃんらしく、等間隔に切られたネタ。色合いも考えて盛られたそれに出るのは「すげぇ」の一言だ。
テーブルにグラスと皿を並べていればチャイムが鳴る。
モニターに映るのは手を振る桃ちゃんと美馬さんの姿だった。
6人揃ったところで手巻きパーティーは始まるけれど、あいにく俺は不器用だ。
どんだけシャリを乗せればいいかもわからず戸惑う。
向かいには同じように固まったままの歩。
日頃から家事をしている拓海は余裕そうだし、もちろん美馬さんとリカちゃんの作る手巻きは芸術レベルで綺麗だった。
「桃さん。俺マグロ食いたい」
「マグロ?はいはーい」
歩の注文に嫌な顔1つせず応える桃ちゃん。
巻いてもらったそれを手に得意げに俺を見る。
………イラッ。
「リカちゃん!!俺もマグロ!」
「は?」
「早く!」
俺の剣幕に圧されたリカちゃんが手渡してくれた手巻きを握り歩を見る。
フッ……俺のやつの方が綺麗だ。
「桃さん、次はイカ」
「リカちゃん俺は玉子とツナ!」
「なら俺は玉子と胡瓜」
「それなら俺はイカと胡瓜」
「「じゃあ次は…」」
「「いい加減にしろっ」」
見事にハモった声。
ハイスピードで注文する俺たちに桃ちゃんとリカちゃんが怒った。
「ちょっとは自分でやりなさい!」
そう言うのは桃ちゃん。
「この俺をこき使ってんじゃねぇよ」
こっちがリカちゃん。
………似てるようで全然違う。
溺愛されてるのは歩の方だろと思った。
2人同時に怒られ俺と歩はお互いに睨み合う。
それを見て桃ちゃんとリカちゃんが溜め息を吐いた。
「あ、豊さん、そっちの海苔ちょうだい」
「ん。海老も食べるか?」
「いるいるー!!」
「ほら。吸い物のおかわりは?」
「よろしくー!」
残る2人はとても楽しそうに笑いあっている。
俺と歩だけが見えないところで火花を散らしていた。
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