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「っつーか、お前の好みとか知らねぇし」
「え、なんで?ウサギなら誰より知ってるだろ」
本気で不思議そうにするリカちゃん。
「あんまり自分の話しねぇくせに何言ってんだよ」
聞かなきゃ何も教えてくんねぇし、最近じゃ聞いてもはぐらかして教えてくれないくせに。
恨みを込めて睨めば呆れたような瞳とぶつかる。
「お前は本当に期待を裏切らないバカだな」
握られた手が返され、指が絡み合えばリカちゃんが纏う空気の甘さが増した。
「俺の好みなんてお前そのものなのに。
慧の存在が好きなんだから好みもクソもねぇだろ」
増した結果、言葉となって降り注ぐ。
「俺の好きってこういうこと。おバカな慧君にわかる?」
『バカ』を強調して言われた言葉に腹が立った俺は、握られた手を振り払い鼻で笑ってやる。
「ハッ……つまり、てめぇは俺が好きすぎて仕方ないってことだろ。リカちゃんってば名前通り可愛いのな」
売り言葉に買い言葉。
きっと低い声で「クソ生意気」なんて返されるはず。
意地悪く偉そうに笑うはず。
「そうだって言ってるだろ。
俺は慧が好きすぎて仕方ない」
そのはずが返事は予想外に普通だった。
普通というよりは優しすぎる。
「だからさ…」
確かに振り払った指が捕らえられ、さっきよりも強く握り締められる。
「だから帰ってくるなとか言うなよ。
お前に捨てられたら俺がいる意味ないんだから」
痛いぐらいの真剣な視線。
「お、大げさだっての」
それが本当だったらいいのに…という気持ちは隠してごまかす。
「本気で言ってんだけど。わかってるくせに」
「わかって、なんか………ない」
「そうか。じゃあ泣いて許してって言うまでわからせてやるから」
真剣だったはずの瞳が今度は妖艶な黒に変わる。
あ!!と思った時には身体が返され、シンクに押し付けられ動けなかった。
背骨をうなじから降りていく指が尾骨で止まる。
「ナカでイかせまくって心も身体も俺の女にしてやるよ。
そうしたら嫌でも信じてくれんだろ?」
どうして俺は、こうも学習能力が無いんだろう…
後悔してももう遅い。
鼻腔を擽る甘い匂いが、また辺りに漂い始めた。
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