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汚れた手をティッシュで拭き、俺はベッドに沈み込んだ。同じように後始末を終えたリカちゃんの声が聞こえてくる。
『…ふぅ。どう?マシになった?』
「なにが」
『リカちゃんシック。寂しくて仕方ないウサギさんを元気づけてやった俺って優しいだろ?』
リカちゃんシックってバカじゃねぇの。
そんな寒い台詞よく言えるもんだ。
けど本当にリカちゃんシックなんだから笑えない。
「全然足りない……ちゃんとリカちゃんので気持ちよくしてよ」
『慧君かーわいい。そっち帰ったら死ぬほど可愛がってやるから楽しみにしてろ』
からかわれて終わる。
いくらリカちゃんでも無理なこともある…って当たり前のことだ。
「………仕方ねぇから今はこれで我慢してやる。
けど、帰ったら俺の好きなとこ行って好きなもん食うからな」
『わかってるって』
「ブロッコリー食わないからな」
『それとこれは関係ない』
いつもの2人に戻って、くだらない話をして…少しすればリカちゃんが『そろそろ寝るか』と電話を終える合図をする。
それが堪らなく寂しい。また1日…1人きりだ。
しかも明日は父さんと会わなきゃいけない。
またあの目で見られなきゃいけない。
「リカちゃん、あと少しだけ」
『駄目だって。もうこんな時間だし、お前も明日予定あんだろ?』
「大丈夫だから…あとちょっとだけ」
あと少し、あとちょっと…先延ばしにする俺にリカちゃんは少し黙った後、言う。
『慧。1人じゃないから。ちゃんと見ててやるから』
「……1人だし」
『俺がいるのに?』
「今はいないくせに」
リカちゃんは何も悪くないのに責めるような言葉が出てしまう。本当はこんなこと言いたくない。
「見ててやるなんて嘘だ」
『俺は嘘はつかない』
「それが嘘なんだよ!!出来もしねぇこと言ってんな!」
勢いで言ってしまったことに気づく。
『慧』
「……もう寝る」
『慧、待てって』
「じゃあな!!」
遮るように切ってしまった電話。
何してんだと後悔ばかりが募るが、掛け直すことも『ごめん』と送ることもできない。
「っ、クソ……最低…」
リカちゃんの反応が怖くてスマホの電源を落とす。
これで完全に1人。
自分で自分を追い込んでしまった。
自己嫌悪ばかりして何度もスマホに伸びそうになる手を途中で押し留めて。
そうして朝を迎えた。
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