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「あの家、今ちょっとゴタゴタしてて防犯すげぇんだよ。夜は出かけられなくなってて。
だから親父に時間稼ぎしてもらってその間に抜けだしたってわけ。朝飯の時には居たはずの俺が消えたんだから驚くよな」
2本目のタバコに火を点け紫煙を吐き出す。
その息の深さがリカちゃんの疲れを表していた。
「朝に抜けだしたって…どうやって帰ってきたんだよ」
朝飯を食べてから向こうを出たなら、物理的にリカちゃんが昼にこっちにいるのは無理だ。
「帰ってこれたから今ここにいるんだよ」
けれどリカちゃんは平然と答える。
瞼を擦りながら……どうやらかなり眠たいらしい。
「そんなに眠たいのか?」
「誰かさんが拗ねるから一睡もせずに残りの仕事頑張って終わらせたんで」
タバコを持ってない手で俺の頬を撫でて鼻を摘まむ。
その手を払いのければ代わりに手を繋がれてしまう。
「別に拗ねてなんかねぇよ。それより話の続きは?」
「もう全部話しただろ。いい加減寝かせてくんない?」
吸い終えたタバコを灰皿に捨て、リカちゃんは俺に体重を預けてくる。
そのままズルズルと落ちていき俺の太ももを枕代わりに寝転んだ。
「あー…この枕いいわ。ウサギ枕マジ最高」
「おい寝んなよ!ちゃんと答えてから寝ろ!」
「だから全部話したってば」
まだ肝心な話が残ってる。
どうやってここに来たのか、どうしてこの場所を知ってたのか。
「朝まで向こうにいたなら間に合わないだろ?
だって新幹線で3時間ぐらいかかるんだし」
ウトウトしていたリカちゃんの目が開く。
そしてジッと俺を見上げる。
「なんだよ」
「いや、なんでそんなこと知ってんのかなぁって。慧君って新幹線とか好きだっけ?」
「………」
「ねぇ、なんで?」
さっきまで眠たそうでちょっと隙があって可愛いな…とか思ってたのに。
そんなものはすっかり消え去り、今は獲物を見つけた肉食獣だ。
「なーんで慧君が知ってるんだろうねぇ」
「たまたま…テレビで…」
「そんな嘘が通用するとでも?」
思……うわけねぇだろ。
「ねぇ慧君。なんでか理由を教えて?」
リカちゃんの猫撫で声は反則だ。
「けーい君」
俺の頬をつつく長い指を掴む。
「わかってるくせに性格悪すぎ」
「うん。でも慧の口から聞きたいから教えて」
相変わらず甘ったるい男。
でもこうやって名前を呼ばれるだけで嬉しいんだから、俺も頭がやられてるんだと思った。
「調べたんだよっ!!でも、お前が俺に会いたいつったから迎えに言ってやろうと思ったわけじゃねぇからな!」
リカちゃんがニヤニヤ顔から満面の笑みに変わる。
本当に嬉しそうに笑うから余計恥ずかしくなった。
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