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「で?今日は何の迷惑持ってきたわけ?」
「その言い方はなんなの?!
なんであんたは人に優しく出来ないわけ?」
「悪いけど俺の優しさは誰かさん専用なんで」
リカちゃんが机に置いてあったケースからタバコを取り出し口に咥える。俺の手元にあったジッポをそっと差し出せば受け取った後に頭を撫でられた。
「相変わらずね…。もう付き合って半年は経つでしょ?そろそろ落ち着いたりしないの?」
「落ち着くって何が?」
「聞かれてもわかんないわ」
「わかんねぇなら言うな。それより本題言ってもらっていい?」
リカちゃんと桃ちゃんのテンポいい会話に入っていけずに俺は黙る。
「歩がなんだって?」
「あぁ、そうそれよ!歩ちゃんがね、反抗期に入っちゃったみたいなの」
「は?え、本当にそれが本題なのか?」
呆れた目で見るリカちゃんを無視し桃ちゃんは続ける。
「昨日会ったらね、いきなり金髪になってて…いえ、似合うの。鼻血出ちゃいそうなぐらい可愛かったの。もう今すぐスタジオ連れて行ってポスターにしたいぐらい可愛いのよ」
コトリ…リカちゃんが桃ちゃんの持っていたグラスを奪い、テーブルに置いた後ににっこり笑う。
次に来ることが予測できた俺は、桃ちゃんから距離をとりできるだけソファーの端に逃げた。
「お前さ…わざわざ惚気る為に来たのか?修学旅行前でやる事多くて今日も朝から仕事に行ってた俺に惚気聞かせたいの?」
「え?ちょ…え?!」
「わざわざ疲れてるところに押しかけてきて惚気…ねぇ。
随分と俺もなめられたもんだわ」
桃ちゃんのネクタイを掴んだリカちゃん。グイッと引き寄せれば2人の顔は近くなる。
至近距離でリカちゃんに微笑まれた桃ちゃんが頬を染めて目をそらす。
「……ヤダ…そんなに見つめないで………」
桃ちゃん…わかる。その気持ちはすっごくわかる。
リカちゃんの無駄に整ってる顔が目の前にあって、しかも微笑まれたら俺もそうなる…が。
ここは赤くなってる場合じゃないんだ。逃げなきゃいけないんだ。
「リカ……」
ミーハーな桃ちゃんがリカちゃんの名前を呼ぶ。
「桃」
返すリカちゃんの声は掠れていて色っぽい。
桃ちゃんの前髪をそっと掻き分け、現れた額をリカちゃんが長い指でなぞる。
そしてそのまま目尻を撫で、頬へと移動し、どんどん下降していく手が辿りついた先。
「いっふぁぁぁぁ!!!」
リカちゃんが思いっきり桃ちゃんの顎を鷲掴んだ。
「いっ、つぁ!!リカ、リカッ!!」
「アァ?俺は迷惑だとも面倒くさいとも、鬱陶しいとも言ったよな?それを強引に押し入ってきて言うことが惚気だと?お前はそんなに俺を怒らせたいのか?」
「違っ…!!ちゅ、ちゅづきがッ!」
「それなら初めから言えよ。無駄な時間使わせてんじゃねぇよオカマ」
やっと解放された桃ちゃんが顎に手を当て、涙ぐみながら俺を見た。
「ウサギちゃんっ!!こんな鬼畜のドコがいいの?!」
「…え、えっと」
「脅されてるの?!何か弱みでも掴まれてるのよね?!大丈夫、あたしがついてるから一緒に戦いましょう!」
「あー…うん、ありがと」
こんなリカちゃんでもイイとこあるんだけど…って、きっと桃ちゃんは俺よりも知ってるはずだ。
だからこうやってリカちゃんの所に来たんだろう。
美馬さんじゃなくリカちゃん。リカちゃんなら何とかしてくれるって信頼してるからだ。
そしてリカちゃんも文句を言いながらも相手をするんだから、やっぱりこの2人は『親友』なんだと思う。
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