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歩ちゃんのキスは少し荒っぽくて、どこかもどかしい。
まだ高校生…にしては上手い気もするけれど…でもスレていないところが好き。
誰かを自分色に染めたいだなんて全く理解できなかったはずなのに、歩ちゃんを見ているとなんだかわかる気がする。
これから成長して大人になっていく中であたしを刻みたいと思ってしまう。
外ということもあって、あっさり離れて行く唇が名残惜しい。
「足りない?」
「別に。ガキみたいにがっついたりしないわよ」
「俺はもっとしたい」
素直っていうのは一種の犯罪よ。普段は生意気で大人ぶってるくせに、こういう時だけ甘えてくるんだから!
「ダメ?」
「駄目」
「桃さんのケチ」
唇は触れないけれど近い距離。あたしの髪を指に巻き付けた歩ちゃんが「柔らかい」と呟いた。
本当は今すぐにでも連れて帰ってしまいたい!!欲望と理性の天秤が揺らぎ、今日もまた理性が勝つ。
「桃さんって本当頑固ですよね。一体いつになったらヤらせてくれるんだか」
「ちょっと!なんであたしが抱かれる前提なの?!」
「なんでって……俺のこと抱けます?」
「もちろん抱けっ………」
あたしは歩ちゃんを抱ける、だろうか?なんだか想像できない。
「おとなしく俺に任せればいいのに」
「男との経験あるの?!」
「ンなもん無いっすよ」
どこから来るのかわからない自信。それなのに目の前の歩ちゃんは平然とした顔で新しいタバコを咥える。
「無いけど多分イケる気はしてます」
「………その根拠のない自信はなんなのよ」
「それだけ桃さんが好きだからじゃないっすかね」
ニヤッと笑いながらあたしを見た歩ちゃん。悔しくて咥えていたタバコを奪ってやる。
まだ火の点いていないソレが無くなり少しだけ彼は拗ねたように見えた。
「何すんだよ」
「ふんっ!まだまだ子供ね。同じキザでもリカならタバコ取られたぐらいじゃ怒らないわよ?」
「あんな頭おかしいヤツと一緒にしてんじゃねぇよ」
「あらやだ!怒った顔は似てる!!でもリカの方が少しSっ気が強いかしら…」
あたしを睨む顔は昔のリカと少し似ている。懐かしくなって思わず言葉が零れた。
それがキッカケで空気が一変する。
「似てねぇし。俺は俺、アイツはアイツ」
当たり前のことを言う歩ちゃんは真っ黒な瞳であたしを見つめて続ける。
「顔だってそこまで似てないはずだし声も体格も違う。同じつったらこの髪ぐらいだろ」
自分の髪をグシャッと掻き上げ、鬱陶しそうに離した。
かかった前髪で彼の表情はわからない。
「自分で思ってる以上に似てるわよ?」
たとえば、ふとした時の仕草や台詞。目元を細めて優しく笑うところ。
リカはウサギちゃんに向けて、歩ちゃんはあたしに向けて。視線や態度で『特別』を伝えてくれるところが似ている。
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