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「と、いうワケなのよ……って、なんでそんなに怖い顔してるの?!」
リカちゃんが無表情で桃ちゃんを見る。いつも意地悪な顔か偉そうな顔だからリカちゃんの無表情は本当に怖い。
何を言われるか、ナニをされるかわからないからだ。
「ちょっと待って!あたし明日も接見があるし結構大きな案件抱えてるの!!せめて顔だけはやめて!」
「安心しろ。俺はテクニックに自信がある」
「なんの?!なんのテクニック?!」
必死の形相で後ずさる桃ちゃんが可哀想に思えて、俺はリカちゃんの服を掴んで止める。
それに気づいたリカちゃんが俺を見て小さく笑った。
「お前さ、その話の流れでなんで理由がわからないってなんの?どう考えてもお前の言った内容がマズいだろ」
「…どれよ」
「そう聞くってことは、いくつかは心当たりあるんだな。
まぁ端的に言うと全部。全部が悪い」
「ああぁぁぁ……どうしましょ?!」
手のひらに顔を埋めた桃ちゃんが絶望の声を上げ、それを見たリカちゃんが鼻で笑う。
でも、まぁ…歩の気持ちもわからなくもない。
普段からリカちゃんと似てると言われ、少なからず比べられてきた歩。
まだまだリカちゃんに敵わないことにイラついているのも知ってるし、それを桃ちゃん…出来たばかりの恋人に言われたなら尚更だ。
俺だってリカちゃんが他のヤツと比べてきたら拗ねる。
そういえば…リカちゃんにはたくさん意地悪されてるし、からかわれているけど誰かと比べられたことはない気がする。
そう思うとリカちゃんってイイ男…なのかな?
ジッとリカちゃんを見つめれば目が合ったリカちゃんが俺の鼻をつつく。
「慧君見過ぎ。そんなに見つめられると俺溶けちゃう」
「見てねぇよ!!」
「いや寧ろ慧君に溶かされるなら本望かな。なんなら、このまま2人で溶け合っちゃう?」
ニヤッと笑ったその視線は寝室に向く。
前言撤回。コイツはイイ男なんかじゃない!相変わらず性格が悪い!
イヤらしく伸びてくる手を振りほどき、俺はキッチンへと向かう。
自分の分と桃ちゃんの分の飲み物を入れ直しリビングへ戻れば、やっと顔を上げた桃ちゃんとリカちゃんが話をしていた。
さっきとは全く違う真剣なリカちゃんの声に、なんだか割り込むのが憚れて俺は黙ってそれを見守ることにした。
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