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翌日の夕方に帰って来たリカちゃんのネクタイはピンクじゃなくて黒とグレーのストライプ。
それを見て昨夜は俺の家じゃなく自分の家に帰ったんだとわかった。
リカちゃんは昨日のことを何も言わない。きっと俺に見られていたことに気付いてないんだろう。
俺も聞けない。聞きたいのに知りたくないって気持ちが大きくて何も言えない。
いつものように2人で飯を食って、それぞれシャワーを浴びて…俺がテレビを観てる隣でリカちゃんはパソコンに向かって何かを打ち込んでいた。
明日からはまた学校が始まる。こんなに時間があるのは今日までだ。
今夜はエッチすんのかなって期待しつつ、そっと隣に座るリカちゃんに近づく。
少ししてリカちゃんがパソコンの電源を落とし、グッと伸びをした。
「明日から学校始まるっていうのにもう疲れてんだけど。うちの学校、教師の扱い荒過ぎ」
「リカちゃんが体力無いだけじゃねぇの?仕事のし過ぎでちょっと老けたもんな」
「バカ。これでも20代前半に見られるんだって」
黒縁メガネの奥の瞳が細く歪む。俺の知ってるリカちゃんの笑い方。
あの女に向けてたのとは違う、意地悪で偉そうな笑い方だ。
「もう11時か…時間経つの早ぇな」
「ずっとパソコン見てたからだろ」
「新学期始まって少ししたらテストだしな。今回の結果も期待してるよ慧君」
2学期が始まったらテストがあって三者面談、修学旅行に期末テスト。
もちろん俺以上にリカちゃんは忙しくなる。一緒に寝ることも減って、こうやって話をする時間だって取れなくなる。
近くにいるのに会えない。会えるのは獅子原先生でリカちゃんじゃない。
それがすごく淋しい。
「リカちゃん」
その寂しさを埋めるようにリカちゃんの手を取り、指を絡ませる。恥ずかしいから俯いて。
普段こんなこと絶対にしない俺からのスキンシップに少しだけ不思議そうにしてクスクス笑った。
「たまにデレてくれる慧君がマジ可愛いんだけど」
下手過ぎる誘いが伝わったんだと嬉しさから顔を上げれば、リカちゃんはメガネをかけ直して長い前髪をかき上げて言う。
「課題終わってないんだろ?見てやるから持って来いよ」
「は…課題?って、違ぇよ!」
「結局出来なくて助けてほしいんじゃねぇの?」
全然伝わってない…それどころか課題が出来てないって思われてる。
あんなに必死に終わらせたのに。今日リカちゃんと一緒にいる為に頑張ったのに。
「このバカ教師!」
「あ?なんで俺がバカって言われなきゃなんねぇんだよ」
「知るか!!」
握っていた手を振り払い、リカちゃんとは反対側にそっぽを向く。何か言い返してくると思ったリカちゃんは何も言ってこない。
シガレットケースに伸びる手。てっきり吸うんだと思ったタバコと、隣に置いていたスマホをポケットにしまい、リカちゃんが立ち上がった。
脇に抱えられたノートパソコンが顔の真横に来る。
まさか…と見上げる俺にリカちゃんは平然としながら言う。
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