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結局出なかった電話。
またかける勇気なんてなくて、だけど気になって仕方ないからスマホ自体の電源を切った。
テレビから流れる芸人の大きな笑い声ですら聞こえないほど今の俺は落ちてる。それを助けてくれる唯一のヤツは今ここにいない。
なんで今どき手紙なんだろう。なんでリカちゃんなんだろう。なんで…なんでなんで。
考えて考えて、どれだけ考えても出ない答え。
規則正しく刻む時計の針の音が頭に響いて頭痛がしてきそうだ。
せめて何かリカちゃんを感じたくて灰皿に転がる吸殻に手を伸ばした。急いで消したのか長いまま消されたソレ。
ライターなんて見当たらないから、行儀が悪いけどコンロの火で代用する。
ちなみにこれは前に歩がしてたことだ。
リビングに戻って吸う初めてのタバコ。
見様見真似で吸い込んで、でも吸い方がわからなくなって噎せた。
苦いし全然美味しくない。
気持ち悪くなって煙たい。
リカちゃんみたいにカッコよく吸えない…歩みたいに「美味い」なんて思えない。
目が潤むのは煙の所為だ。噎せて苦しいからだ。
俺はリカちゃんを信じてるから泣いたりしない。
男がこんな事ぐらいで泣くなんて情けない。
吸わないまま灰に変わるタバコ。
結局消えてしまったソレをまた咥える。
だってコレはリカちゃんが吸ってたヤツだから…あの意地悪で綺麗な唇に触れてたものだから。
『慧』
俺を呼んで俺に笑いかける唇。
そう思うと昨日お預けをくらった身体が熱くなってきた。
リカちゃんの部屋で、リカちゃんの匂いを嗅ぎながら
リカちゃんの吸い捨てたタバコを咥えて。
俺は自分の性器に手を伸ばす。
まだ完全には勃ち上がってないソレを握り、ゆっくり扱き始める。
「んっ……」
吸殻が落ちないように声を押し殺し、手を上下に動かす。竿は少し強めに握って、先の方は優しく。
割れ目を指の腹で押しつぶして…次は確か、輪っかにした指でカリを締め付けて…って。
これは全部リカちゃんがしてくれること。
何度も受けた愛撫を思い出して俺は記憶の中のリカちゃんに抱かれようとした。
「やっぱ無理」
虚しくなって中途半端に勃った性器を無理に下着に押し込む。俺の唾液で湿った吸殻を灰皿に放り捨て、手を洗おうとリビングを出た。
それと同時に玄関の鍵が開いた。
ドアノブがゆっくり回る。
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