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「それでこそ俺の慧君。生意気さと可愛さを兼ね備えてて今日も最高に愛おしい」
「………は?」
今コイツなんて言った?
「お前こうでもしねぇと本音言えないだろ?キレなきゃ思ったこと言えないってお子ちゃま慧君だね」
宛がっていた手で俺の頬を抓る。感触を楽しみながら楽しそうに声を漏らす。
あんだけ怒ってたのに急になんで?なんでこんなにコロコロ変わるんだよ。
「怒ってたんじゃねぇの?」
「なんで俺が怒んの?そんなの理不尽だろ」
日頃すげぇ理不尽なことばっか言ってるくせに何言ってんだろうか。リカちゃんは俺様なのか俺様じゃないのかよくわからない。
「まぁ浮気してやるって言った時は縛り付けてこのまま閉じ込めてやろうかと思ったけど」
でも、その中身はやっぱり俺様だった。俺様で掴めない男は言葉を続ける。
「普通に聞いても強がって突っぱねるだろうし。
お前を素直にさせるにはセックスするか怒らせるかどっちかだから」
「てめぇ……マジで最悪!」
「けど疑われたままヤるのは嫌だしなって思ってたタイミングでお前がケンカ吹っかけてきたから乗ってみたわけ。マジで俺が怒ったと思って怯えた慧君可愛かったよ」
半分ぐらい本気で怒ってたくせに…っていうのは俺の願望も込められてる。
得意げに笑いながら俺の頬を弄る手。それを払いのければ余計に笑みは深くなる。
「そんなに怒るなよ。俺なりに考えてやったんだから」
「その結果がコレかよ」
「でも言いたいこと言えただろ?1人で考えこんでも答えなんて出なかったくせに」
身体を起こしたリカちゃんがテーブルの上に置いていたタバコを手に取る。
軽く紫煙を吐き出して長い前髪を耳にかけた。よく見えるようになった泣きボクロが眼鏡の隙間から現れる。
疑われたまま…ってことは俺の勘違いなのかな。リカちゃんの指が触れるのは俺だけ、意地悪されるのも甘やかされるのも俺だけだのモノなのかな。
チラチラと視線を向ければ、灰を落としたリカちゃんと目が合う。クスッと笑われてその手が伸びてくる。
「してないよ、浮気なんて」
頭を撫でて髪を梳いて。毛先を指に絡めながら続ける。
「俺がお前以外を選ぶことはないって何度も言ってるだろ」
「じゃああの女は誰だよ」
「あの女?」
「夏休みの最後の日に街で見かけたんだよ。お前が知らない女と楽しそうに笑って歩いてんの。爽やかに笑いながらな!」
あんな笑い方俺には滅多に見せない。
丁寧に扱って相槌をうってたのを思いだす。
すっげぇイライラする。
「あぁ。あの時か…お前あの人と俺の仲疑ってんの?」
「それ以外にもいるのかよ?!」
「それ以外って……だからお前以外に興味ないって言ってんだろ」
じゃあなんだよ。早く言えよ。焦らされて焦らされて、また焦らされる。俺は焦らされるのが嫌いだ。
リカちゃんの吸っていたタバコを奪う。まだ半分ぐらいのソレを消して睨みつけてやった。
それなのに余裕たっぷりのリカちゃんはずっと口元が緩んだままだ。
さっきまであんなに冷たかったくせに今はそんなの全く感じない。
俺の髪を指に巻き付けて匂いを嗅ぐ。そのまま髪に口付け耳元で囁く。
「勘違いして落ちていく慧君をさ、苛めたくて苛めたくて…本当おかしくなるかと思った」
お前はだいぶ前からおかしいだろ。
心の中で入れたツッコミはきっと間違っていない。
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