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テーブルの上に並べられた料理。男6人分だと結構な量だったはずなのに、それを1人で作ってしまった男は俺の隣で鼻歌を歌いながらスマホを弄っている。
ちなみに手伝おうとした俺はキッチンにすら入れてもらえなかった。
「ん?」
俺の視線に気づいたリカちゃんがこっちを見る。どうしてそんなに機嫌がいいのか不気味なのは俺だけだろうか。
「なに、そんな見つめちゃって……あ、わかった」
ゆらりと影が揺れたと思ったら近づいてくる甘い匂い。夏限定の少しくすんだようなバニラの香り。
瞬きをする間もなく重なった唇はやっぱり今日も冷たい。
「いきなりなんだよ」
「え?見つめてくるからキス待ちかなって」
真顔で冗談を言った…いや、本人は本気でそう思ったんだろうけど…リカちゃんはタバコに手を伸ばす。
口に咥えて火を点けようとした手を握った。そこには見慣れない安物のライター。
桃ちゃんの家にジッポを忘れたからって買ったソレはリカちゃんには似合わない。
「どうした?」
「別に」
「慧君、言ってごらん」
唇に挟まれたままのタバコが震え、やがて止まる。
緩い笑みを決めこんだリカちゃんの手が俺の頭を撫で頬を通って閉じたままの唇へたどり着いた。
「けーい君」
「言いたくない」
「じゃあしない」
ほらわかってたんじゃねぇかよ。俺がもっとキスしてほしいって思ってたこと。あんなんじゃ足りないってこと。
タバコを吸ったらしばらくはしてくれないから吸うのを止めたのに、また意地悪だ。
「してくれなくていい」
そう言った俺にリカちゃんは「またか」と呆れた顔をする。でも今日の俺は違う…っつーか最近の俺は違う。
リカちゃんを疑うしか出来なかったとき、すっげぇ後悔した。これからはちょっと素直になろうって決めたから実行する。
「え?」
座っていたリカちゃんの膝に乗る。
俺の目線の下にある顔が本気で驚いたようにこちらを見上げ、何かを言おうとする前に唇を塞いでやった。
俺よりも冷たいリカちゃんの唇が閉じないうちに舌を入れていつものキスを思い出して動かす。
そんな俺をリカちゃんは目を開けたまま見つめていた。
「目ぐらい閉じろ」
キスの合間に言えばリカちゃんは吐息混じりに「嫌だ」と答える。
「慧君もっとして」
「急に甘えてくんじゃねぇよ」
「たまにはいいだろ。ほら早く」
俺の服を引っ張って催促するリカちゃんは既に舌を出して待っている。
「引っ張るなって!伸びるだろ」
「じゃあ手繋いでて」
両手の指を絡ませて深いキスを交わす。いつになく甘いリカちゃんと、いつもより素直な俺だから止まれなくて…どんどん時間が過ぎていく。
「リカちゃん、もうそろそろダメだって」
「んー…じゃあ次がラスト」
「さっきもそう言っただろ」
そう言いながらもやっぱり止まれない。
「慧君、あと5分」
「ん…ふぁ、それ長すぎっ」
「じゃああと3分、ね?」
お互いに名前を呼びあってキスに夢中になる。
「慧、もっと」
「リカちゃ…だめ」
「いつまでやってんだよ!このクソカップルが」
気付けばいつの間にか来ていた金髪野郎が氷のような目で俺たちを見ていた。
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