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用事を終わらせて合流した俺を待ってたのは、なんか嫌な雰囲気のみんな。
桃ちゃんに連れられて入った部屋の中。聞こえた慧の声を消すように俺は声をかけた。
俺を見るみんなの顔はいろいろ。驚く慧に機嫌が悪そうな歩。なんだか落ち込んでるっぽい豊さん。
そんな中で一人楽しんでるリカちゃん先生が俺を見て目を細めた。やっぱりバレちゃったかなぁ…なんて考えながら空いてるイスに座る。
リカちゃん先生が作った料理は全部美味しい。俺だって家でいつも作ってるけど全然違う。
材料の大きさは揃ってるし形だって綺麗。ちゃんと計算されて作られてるんだなぁってわかる。
料理って性格が出ると思うんだ。
たとえば桃ちゃんが作ったのはカラフルでオシャレ。名前がわかんない野菜で名前がわかんない料理を作ってくれる。
でもって、リカちゃん先生のは掛け算。材料と調味料をうまく使って計算して、完璧な答えを出すって感じ。
そして豊さん。豊さんのはお絵かき。
一色だけでも綺麗なのに、いろんな色が合わさってもっと綺麗な色になる。豊さんだけの色。
優しい色に温かい色。繊細な色もあればびっくりするほど大ざっぱな色もある。
俺はバカだし空気読めないって言われてるけど…なんとなく直観でわかるんだ。
豊さんってきっと怖がり。でもって真面目だから余計に冒険しない。
でもさ、そんなのって楽しくないじゃん。
なんでもやってみなきゃわかんない。無理かもダメかもって言ってちゃ何も始まらない。
豊さんが俺を避けるんだったら俺からいけばいい。
誰かに拒否られんのって初めて…だから色々試してみたいんだ。
アレがダメなら次は違う方法を。それでもダメなら1回戻ってみる。俺は歩みたいに要領よくないし、慧みたいに勢いでなんとかするなんてできないけど。
でも俺は俺だから。別に2人の真似なんてしなくていいんだと思う。俺には俺のやり方があって、俺にしかできないことがある。
だってみんな同じだとつまんないだろ?
俺はもっといろんな人と知り合っていろんな人を知りたい。
だから俺は前に進むんだ。
バカだって、空気読めないって言われてもいい。
嫌なことばっかり考えてたらそれが現実になっちゃうかもしれない。
「豊さん!」
名前を呼べば困った顔をされても。
「それ1口ちょうだい」
ちょっと躊躇われたとしても。
「やっぱりみんなで集まると楽しいよね!!」
「あぁ…そうだな」
やっぱり豊さんは俺を見てくれないけれど…。
「うまーい!楽しいー!!」
俺は前に進むんだ。みんなの分も笑うんだ。
だって後ろに答えなんてない。ウジウジしてても楽しくない。
諦めなきゃ終わりは来ない。
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