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「おかえりー」
部屋へ戻って真っ先に目に入ったのは俺のベッドに寝転びながらお菓子を食べる拓海の姿だ。なんで俺のベッドかというと、拓海は別の部屋だから。
2人1組の部屋割りで俺と歩が同じなのは当然。だって俺も歩も友達がいない。
…それは今はどうでもいい。
「あ?もう帰ってきたのかよ」
日本から持ってきていた漫画を読んでいた歩がこちらを向く。不機嫌じゃないってことはリカちゃんの言った通り怒られてないらしい。それに俺の中の罪悪感が少し薄れた。
「兄貴は?」
「他のヤツらに捕まった」
お菓子で散乱してるベッドに座る気にはなれず、歩のベッドに腰を下ろす。ゴロンと転がってきた歩が俺の太ももに頭を乗せた。
「なんだよ」
下から俺をジーッと見て、その顔が緩む。
「なんかいい事あったろ」
「は?」
「隠してるつもりかもしんねぇけどバレバレ」
人の足を枕代わりにして何言ってんだか…金髪を押しのけようとする俺に、なぜか歩は腰に抱きついてきた。
歩がこんな風にベタベタ触ってくるのは珍しい。
「歩お前なにしてんの?」
答えない歩にきっと理由を知ってる拓海を見る。苦笑いを浮かべながら拓海が教えてくれる。
「歩さ、俺のこと庇ってくれたじゃん?あれでお前はゲイかってからかわれたんだよ」
「誰に?」
「相手のヤツら。俺はなんて言われたかわかんなかったけど、歩はバッチリ聞こえたらしくて…」
だからってこうなるか?それだけが理由じゃないはずだ。
黙って歩を見ていると、また身体を回転させて今度は枕に突っ伏した。
すげぇ小さな声で歩が漏らす。
「アイツ……俺に「1発ヤらせろ」って言ったんだよ。なんだよ、俺がヤられる側だって思いやがって」
「そこ?!」
「そこじゃねぇよ!俺にとってはすげぇ大事な問題なんだからな」
すげぇどうでもいい。歩がどっちでも俺に関係ない。
「ってかよくそれ聞き取れたな。お前マジで勉強してんだ」
「アホか。こんなの教科書に載ってるわけねぇだろ。いざというときに使えって教えられたんだよ。なんか男の常識だとかバカみてぇなこと言いながら無理やり」
いざという時に使う男の常識…そんなのを使うのも、人に教えるのも1人しかいないだろう。
「お前の旦那すげぇな。あんなの俺、絶対言えねぇ」
「やっぱりリカちゃんか…」
「他に誰がいんだよ」
想像通りの答えに力が抜ける。歩の隣に寝転んで顔を見合わせ、2人同時にため息をついた。
───カシャッ
「「あ?」」
鳴ったシャッター音の正体。
「へへっ。この写メ、絶対売れる!!」
それは口の周りにお菓子のカスを散らせ、よくないことを企んでいる拓海だった。
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