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俺たちが泊まる部屋よりも少し狭いリカちゃんの部屋。1人だから当たり前だけどベッドは1つで備え付けの冷蔵庫にテーブルとイス。
オートロックの扉が閉まったのを確認してリカちゃんが中に入っていく。後を追いかければベッドに腰掛けたリカちゃんが俺に向かって座れ、と顎で指した。
もちろん自分の隣じゃなくイスにだ。
「慧」
改めて名前を呼ばれて肩がビクッと上がる。別にビビッてない…ちょっと驚いただけだ。
「なんでそんなビビんの」
「ビビってねぇ。お前が急に呼ぶからだろ」
「名前呼ぶときは大抵が急だろ。それとも今から呼ぶって宣言すんのがウサギ界では普通なのか?」
明らかにバカにされてるセリフ。
のこのこついて来たのが間違いだったのか?いや、あれはついて来たと言うより連れられて来たんだけど。でも来たかったのは本当だし、けどこういう展開を求めてたワケじゃないし……ぐるぐる考えながらリカちゃんを見る。
着ていたジャケットを脱ぎ捨て、ベッドサイドに置く。外ではほとんど見せない肌。タンクトップになって初めてわかる意外と逞しい二の腕。
細いのにしっかりしてて、俺と違って引き締まってる身体が羨ましい。
コッソリ自分の二の腕を掴んでみたら柔らかくて何気にへこんだ。
「どうするかなぁ…今頃もう点呼始まってるだろうし。迷ってたのを見つけたってのも、これだけ遅れたら無理があるよな」
ハァとため息を吐いて各部屋にある電話に手を伸ばす。誰かと少し会話して受話器を置いた。
「とりあえず俺が頼み事して遅れるけど部屋まで連れていくって言っておいたから。後は歩がなんとかごまかしてくれるだろ」
「それなら初めからそうしてくれたらいいのに」
「お前はバカか。これは仕方なくしてやったんだからな。次の点呼までには絶対戻れよ」
次の点呼は確か3時間後。それだけあれば話ぐらいはできる。リカちゃんが話してくれれば、だけど。
「で?どうしても帰るまで我慢できなかったのか?」
「我慢ってなんだよ」
「コレが気になって仕方ないんだろ?」
リカちゃんがベッドサイドの引き出しから取り出したのは昼間の小箱。
それを自分の隣に置いて俺にタバコを取るよう言う。渡したケースから1本抜き出して咥えた。
「その前に少しだけ昔話をしようか。面白くもなんともない、くだらない話だけど」
「別にいいけど…っつーか俺もそっち座る」
「駄目。お前はそのまま」
その理由を聞く前に始まった話。途中で渡した灰皿をリカちゃんが受け取った時に気付いた緊張した様子。
どんどん明かされるリカちゃんの秘密に俺は黙って目の前の男を見つめ続けた。
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