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「軽蔑されたくなかった。歩の言う通り、こんな話をしてお前に幻滅されるのが怖かった」
「幻滅?」
「そう。だって汚いだろ?」
リカちゃんが、ああいう行為にやたら慣れてるのは前々から感じてた。リカちゃんなら過去にそういう相手がいても変じゃないし、絶対いたのなんてわかってた。
俺にはリカちゃんしかいなくても、リカちゃんはそうじゃない。
それは悔しいし腹立つし考えたくないけど…でもどうしようもないことなんだってわかってる。
「俺は汚い」
俺が何かを答えるより先に、リカちゃんは1人で決めつけてしまう。
リカちゃんが汚い。
考えれば考えるほどイライラするし嫌だし、何してんだって思う。誰をかはわかんないけど、すげぇ文句言いたいし…なんなら殴りたい。
でも汚いなんて思わない。
それでも俺は聞き分けのいい子にはなれない。嫌なもんは嫌だ。だから思ったことを言ってやる。
「お前、手出すの早いもんな」
はっきりと言った俺にリカちゃんは宙を見上げた。けれどその口元は引き攣っている。
「いや、そんなことはない……と思うけど」
「ないことない。俺のときなんて3日だからな、3日」
3日を強調した俺にリカちゃんはムッと眉を寄せる。
「3日じゃない。5日だ」
「…3日も5日も変わんねぇだろ」
「全然違う」
なぜか2日間違った俺にリカちゃんが少し怒る。
「別にどっちでもいいんだけど。ってか覚えてたことが意外だ」
3日だろうが5日だろうが早すぎるってことは変わらない。
大して変わらないことを細かくこだわるリカちゃんにそう言えば、首を振って否定された。
「2人の初めてなんだから忘れるわけない。あの日お前がどんな顔して、どんな声で啼いたか何て言ったかも再現できる。なんならしてやろうか?」
「………絶対にいらねぇ」
全く褒められることじゃないのに得意げに言ったリカちゃんに腹立つ。弱ってると思ってもリカちゃんの根本は変わらない。やっぱりリカちゃんは変だ。
あんまり反省してるように見えないリカちゃんに俺は奥の手を出す。
「そういやあの時もヤろうとしてたしな」
「あの時?」
「しらばっくれてんじゃねぇよ。てめぇ前に泥酔して帰ってきて俺のこと抱こうとしただろ」
「…………は?」
本気で覚えてないのか、それとも演技なのか…定かではないけどリカちゃんが瞬きを繰り返す。
「わけわかんねぇこと言ってると思ったら夢かって言い出して寝落ちたやつだよ」
「え、ちょっと待て」
「忘れたとは言わせねぇからな」
あの日のことをやっと思い出したのかリカちゃんが固まる。そこには『マズい』と書いてんじゃないかってぐらい焦った顔があった。
「違う。あれは違う」
「何が」
「夢じゃないのか?え、現実……マジで現実?」
「夢って都合良すぎんだろ」
睨む俺の肩をガシッと掴んだリカちゃんは必死だ。
「言い訳に聞こえるかも知れないけど聞けよ」
「言い訳だと思ってんなら偉そうに言うな」
真剣な顔をして続けるリカちゃんは俺の声を聞かない。
「あの日はお前が他のやつと一緒にいるのを見かけて、しかも他のやつに触られてて……俺すげぇ荒れて気付けば潰れてた」
「お前俺のこと無視しやがったもんな」
チクッと攻撃しても勿論スルーされた。
「やっと家まで帰って来れたと思ったら隣に誰か居たんだよ。お前にそっくりな声でリカちゃんって呼ぶから、八つ当たりしただけなんだ」
「へぇ。八つ当たりで他の誰か抱こうとするんだ?俺に声が似ててリカちゃんって呼べば誰でもいいんだ?」
掴まれた肩が痛いけど、それでも冷たく睨み続ける俺からリカちゃんは視線をそらさない。
「なんて言われても説得力全くねぇよ、リカちゃん先生」
そう言いながらも俺は気付いてる。
リカちゃんが俺じゃなきゃ駄目だって言うのは本当だってこと。
あの時もずっと俺のこと呼んで、俺を求めてたってわかってる。
けどそれでも許せない。どんな理由があっても簡単には許せないんだ。
「リカちゃんの浮気者」
冷たく言った俺に、肩を掴む力が強くなる。
「節操無し。変態」
どんどん強くなって今じゃ痛い。
「俺は浮気なんてしない…っつーか出来ない」
「しようとしたヤツが何言ってんの」
「本当だって。俺はもうお前しか抱けないんだよ。あの時だって声が似てても別人だと思うと駄目だったんだ」
すっげぇ真顔なリカちゃんから溢れ出る迫力に俺も力が入る。
「駄目なんだ…お前を抱いてる時の興奮がなくて勃たなかった。お前の時なら声と反応だけで腰にクるのに。特にお前のやだやだは破壊力がすげぇ」
「……誰もそんなこと聞いてねぇよ。バカかお前」
入っていた力が一気に抜ける。
リカちゃんは焦るとバカに磨きがかかるらしい。
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