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俺の肩を掴んだままリカちゃんはあの夜の言い訳を続ける。
「本当にお前じゃなきゃ駄目なんだよ。俺は現実の他人より夢のお前を選ぶ」
「夢の俺って言われても…」
「お前以外じゃ勃たないんだから浮気とかありえない。そんなのするなら、お前のこと考えながら1人でする」
堂々と言い放ったリカちゃんに俺は興味本位で聞いてみた。
「もしかして俺のこと考えてシてた?」
「当たり前だろ。他の何をオカズにするんだよ」
これは喜ぶべき…なんだよな。なんか複雑だけど。
「だから信じて。絶対に浮気なんてしないしお前しか見てない」
あの時も相手が俺だって気付くまでのリカちゃんは別人みたいに冷たくて荒かったしな。それはわかってるんだけど素直に許すのは…うん、やだ。
「お前しばらく禁酒な」
「わかった」
素直に頷いたリカちゃんは反省してるのか珍しく言い返してこない。
それでも俺が許したことで安心したように笑った…と思ったら、また固まる。
「なんだよ」
「夢じゃなかった……って、どこからどこまで?」
「どこからどこって。そんなの最初から最後までに決まってんだろ」
再び固まったら今度は顔が赤く染まっていく。手で口元を隠し、それでも足りないのか俯いて顔を見せなくなった。
リカちゃんが赤くなるのを俺は初めて見た。
「リカちゃん?」
俯いたまま動かないリカちゃんを呼ぶ。何かブツブツ言ってるけど声が小さ過ぎて聞こえない。
「リカちゃん大丈夫か?」
「嘘だろ……夢じゃねぇのかよ。夢だと思ったのに…」
顔は上げないし答えないし赤くなる理由わかんねぇし。その顔を無理やり上げさせた俺とリカちゃんの視線が交差する。リカちゃんは真っ赤だ。
「なんでそんなに赤くなってんの?」
「赤くなんかなってない」
「誰がどう見ても赤いだろ」
赤いって言う俺にリカちゃんは赤くないって何度も否定する。けど少しして諦めたのかため息をついた。
「俺、あの時マジで夢だと思ってて…気が緩んだんだよ」
「気?ってなんの気?」
「………見たんだろ?聞いたんだろ?俺が泣いてんの」
そっぽを向いたリカちゃんが拗ねた。
赤くなった理由は照れ臭かったから。
泣いてしまったのを俺に見られて恥ずかしくて照れた……って可愛すぎだろリカちゃん。
「リカちゃん…マジで泣いたんだ。ってかリカちゃんでも泣くことあるんだ」
「当然だろ。お前は俺をなんだと思ってる」
普段が余りにも俺様過ぎて想像なんてつかない。実際に見て聞いてしたけど、俺の勘違いなんじゃないかって思ってたぐらいだ。
それを本人に肯定されて初めて実感する。
「リカちゃんって…意外と可愛いとこあんのな」
「あ?ねぇよ」
「でもって俺のことすげぇ好きだよな」
「それは否定できない。好きじゃ足りないぐらい好き」
もう顔は赤くないし、すっげぇ鋭い目で睨まれてるけど怖くない。それどころか睨まれながら好きだって言われて笑ってしまう。
なんか今までにない気持ちになった。
俺は離れてからリカちゃんの隠してた秘密をいくつか知った。俺に内緒でたくさん動いてくれてたこと、どんな気持ちで今まで一緒にいてくれてたのか。
リカちゃんの愛情の深さを知って、そして今日は弱いところも知った。
怒ってる顔も不安そうな顔も、笑ってる顔も泣いてる顔も見てきた。
そのどれもが忘れられなくて、どれも全て大切。どんなリカちゃんでもリカちゃんはリカちゃんで…やっぱり俺はリカちゃんといたい。
きっとこれが、いつもリカちゃんが言う『愛おしい』って感情なんだろう。
また泣きそうになって必死に耐える。
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