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ちゃんと話をしようとリカちゃんの身体を押してみたけど離してくれない。諦めてそのままの体勢で向き合い、見上げた顔も視線もそらさずにリカちゃんに向かって自分の言葉を伝える。
「リカちゃん。俺この2ヶ月必死で頑張った。自分に何が足りないのか、なんでリカちゃんに怒られたのか考えて、みんなにも教えてもらって少しは成長したと思う」
「少しどころじゃねぇよ。十分過ぎるぐらいだ」
「頑張ったご褒美にリカちゃんに叶えてほしいお願いがある」
何事もやってみなきゃわからない。自分が行動しなきゃ何も変われない。
誰かの助けを待ってちゃダメで、これでいいかって妥協して諦めちゃダメなことがたくさんある。
何もしなくても今の当たり前が続くなんて夢みたいな話はない。
真っすぐ見つめるリカちゃんの目はやっぱり綺麗だった。前までは綺麗なだけだったのに、今はその中に色んな感情があるんだってわかる。
何も決められない俺に教えてくれるのも、逃げ出す俺を叱ってくれるのもリカちゃんだった。俺がどれだけ言い返しても何を言っても平気だと言ってたのは嘘だ。
本当は平気なんかじゃない。俺にわからないよう傷ついてたはずなのに、リカちゃんはそれを隠すのが上手い。
リカちゃんは俺に嘘はつかない。その代わりいつも自分に嘘をつく。
無理してでも笑って、どんな時も余裕を貫いて強い自分でいようとする。
見えない傷に耐えて苦しいのも気づかないフリする。
リカちゃんは自分に嘘を吐き続ける。そしてそれをさせているのは俺だ。
俺の為に生きてるっていうリカちゃんの言葉の意味は俺の為に『なんでもしてやれる自分として』生きるってことだった。
星兄ちゃんの代わりに生きていたリカちゃんが今度は俺の為に。1人じゃ何も出来なくて、リカちゃんに頼りっきりだった俺の為に、なんでも出来るリカちゃんになる。
「お願いって何?俺にどうしてほしい?」
笑って聞いてくるリカちゃんを見ると泣きたくなった。
今まで自分が何を言って、どれだけの無理をさせてきたのかなんてわからない。それでもリカちゃんは俺の為に生きてるって言うんだ。
リカちゃんを1番傷つけて苦しめてる俺を…そんな俺だけを見てくれる。誰よりも近くにいたくせに、誰よりも気づくのが遅かったのが俺だった。
回されていたリカちゃんの手が俺の背中を撫でた。浮かべていた笑みをもっと深くさせて俺に続きを催促する。
「俺が何でも叶えてあげる」
「それ本気で言ってる?」
「俺は嘘はつかない」
それが嘘なんだよ。俺にとっては優しすぎて、リカちゃんにとっては辛すぎる嘘なんだ。
即答したリカちゃんに、俺もすぐ答えた。グダグダ悩んで、リカちゃんの為になんて理由をつけては言えなかったことを。
そうさせたのも俺なら、やめさせるのも俺しかいない。俺にしかできない。
「一緒にいたい。本当のリカちゃんの傍にいたい。
俺はもうリカちゃんに嘘はついてほしくない」
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