アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
704
-
その黒髪を触るとすげぇ冷たい。けれどこの柔らかさは懐かしい。
リカちゃんの真似をして毛先を指に巻き付けてみる。リカちゃんはされるがままだった。
「俺は何でもしてくれるからリカちゃんを好きなんじゃない。リカちゃんが好きだから甘えて頼ってするんだ」
「だからそれを叶えるのが俺の役目だろ?」
「違う。俺は叶えてほしいんじゃない」
どんな時もリカちゃんの近くにいなきゃって思っていたのは、あまりにも2人が違うからだ。
俺の出来ないことをリカちゃんは簡単に出来て、わからないことを知ってるから繋ぎ留めなきゃって必死になる。
近くにいなきゃリカちゃんを引き留めておけないって思ってたけどそれは違う。
「俺はリカちゃんと一緒に悩んだり笑ったり喜んだりしたい。時間とか距離だけじゃなくて見えないところまで一緒でありたい」
「見えないところ?」
頭を撫でた俺の手にリカちゃんが触れる。振りほどかれるかと思ったけど、そうされることはなく止められただけだった。
拒絶されないことに安心して俺はもっと素直になれる。
「さっきリカちゃんが欲しいって俺言ったじゃん。俺は誰も知らない俺だけのリカちゃんがほしい」
相手に好かれたいから格好つけてしまうし見栄を張って自分に嘘をつく。
傷ついても見ないふりして無理して笑う。俺の為に今まで自分を押し殺してきたリカちゃんの本当の姿は、いたって普通だ。
初めて会った時から偉そうだったリカちゃんの、たまに見せる優しさを好きになった。意地悪なこと言いながら大切にしてくれるところに夢中になって、今だけじゃなく過去も知りたいと思った。
リカちゃんの気持ちを試した時もあるし、疑った時もある。全部が嘘に思えた時だってある。
でも、どんな時だって最後に行き着くのはいつも同じ答えだった。
「リカちゃん以上のヤツは絶対いない。リカちゃんは俺の中でいつも1番だ」
黒い瞳が真っ直ぐに俺を見る。迫力だけなら完全に負けている俺は、後ずさりそうになるのを耐えてそれを受け止めた。
穴が開くだけじゃなく、燃えるんじゃないかって思うぐらいの熱視線…ただでさえ見つめられると照れるのに、久しぶりのそれは刺激が強すぎた。
自分でもわかるぐらい顔が熱くなっていく。
「なんで赤くなんの?」
「それ…っは、別に意味はない」
「お前は意味もなく赤くなるのか?」
「俺がないって言ったらないんだよ!何回も聞くなバカ」
赤くなってしまうのは仕方ないと思う。俺、リカちゃんの顔好きなんだもん。ってか1番初めに顔と声に惚れたんだから。
「本当、お前俺の顔好きだよな」
言い当てられてカッとなった俺は言い返す。
「好きじゃねぇ!!俺が……俺が好きなのは顔だけじゃなくてリカちゃんの全、」
言葉途中で引き寄せられてぶつかるように唇が重なる。一瞬で離れたそれが、触れるか触れないかの近い場所で弧を描いた。
「どうしよう…うちのウサギちゃんが男前すぎて骨抜きにされちゃった」
顔を離したリカちゃんは両手を俺の頬に添えたまま、また近づいてくる。
「クリスマスプレゼント…キャンセルなんてしないし死ぬまで……いや、死んでも大事にするから貰っていい?」
頷くと同時に合わさった唇は少し濡れていて、それがどっちの涙かわかってる俺はさらにリカちゃんを好きになる。
だって、リカちゃんを泣かせられるなんて俺以外に誰もいないからな。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
704 / 1234