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タバコを消したリカちゃんがベッドに乗り上げてくる。じりじり寄ってくるのから逃げようと後ずさる俺の右手が何かに当たった。
「ヒッ!!」
それはやっぱり知ってるけど知らない物。この物体がただのマッサージ器じゃないのを俺は知っている。
その横には備え付けの避妊具まであって、改めてここがラブホテルなんだと実感した。
「リ…リカちゃん」
「んー?」
間延びした返事を返してくるリカちゃんに、俺は右にあるソイツを視線だけで示した。目を向けたリカちゃんは興味なさそうにすぐに俺に向き直る。
「ああ、大丈夫だって。この俺がそんなの使うと思う?」
潔癖症のリカちゃんは絶対に使わない。ってか、ここに来たのだって仕方なくだってわかってるけど…。
わかってはいるんだけど、いかにも「エッチします」って部屋に2人。それも仲直りしたてで、数時間前まで濃厚なアレをしてた2人。
近付くだけでドキドキして、キスされて囁かれただけでイきそうになった俺は耐えきれる自信がない。
揃いすぎた状況に生唾を飲みこんだ。
「玩具が欲しいなら買ってやるけど。なんならこの部屋で売ってるの全部買う?」
「いっ、いらない!!」
首を激しく左右に振って答える。ちょっと不満そうなリカちゃんがまた近づいてくる。
「けーい君。2人初めてのクリスマスに思い出ほしくない?」
「もう十分すぎるぐらいできたんだけど」
「それに…ちゃんと待てが出来たご褒美あげないと」
リカちゃんが俺の股の間に膝を入れて押してくる。
そこをグリグリと刺激されて鳥肌が立った俺をリカちゃんの長い腕が起こして正面から抱きしめてくれた。
こうやって向かい合って抱き合うのも久しぶりで、俺も背中に手を回した。
触れたリカちゃんの身体が急に浮く。
「待てよ…まさか今回も夢じゃないよな?起きたら部屋にまた1人だったってオチじゃないよな?」
どこで不安スイッチが入ったのか、夢だと疑いだすリカちゃんの手を取る。この手にいつも守られて来たんだと思うと、なんとも言えない気持ちになって俺はそこへと唇を寄せた。
手のひらから指先へと唇を動かしてチュッと強く吸うと、ピクンと手を震わせたリカちゃんを見上げる。
「これでも夢だと思うのかよ。俺はちゃんとここにいる」
「…慧」
「それ以上グダグダ言うなら思いきり噛むからな!」
俯いてしまったリカちゃんを覗き込めば「見るな」と顔を背けられた。照れたのか少しだけ染まった頬が可愛くて俺はそこにも唇を寄せる。
頬に鼻に額にもキスをして、最後に寂しそうな唇にも。
「ちゃんとここにいるから。だから俺を見て」
そう言ってリカちゃんがくれるのとは違う、触れるだけの可愛らしいキスを落とした俺だったけど相手が悪かった。
「やっぱり無理かも」
「え?」
小さな呟きと共にリカちゃんがしかめっ面で俺を睨んだ。
「もう我慢の限界。ちょっとからかって寝かせてやろうと思ったのにお前が煽るからっ…」
押し倒された身体を受けとめてくれたベッドが軋み、舞ったシーツの影から見えたリカちゃんの瞳。なんでそんな泣きそうな顔して笑うんだって聞きたくても聞けないのは声が出ないからだ。
可愛げなんか全くないキスは声の代わりに吐息が出る。息継ぎさえ許してくれないんじゃないかってぐらいに求められて頭がクラクラする。
「……今すぐ噛み殺してやりたい」
なんて言われたかわからないまま俺は久しぶりの感覚に身を委ねた。
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