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俺から身体を起こしたリカちゃんが枕元に手を伸ばす。そこにあったティッシュを何枚か手に取り、ゆっくりと後ろから出て行った。
横向きに寝転がってリカちゃんを見る。するとリカちゃんは俺の汚れた下肢を拭き、すっかり落ち着いた自分の下半身から何かを外す。
それは白く濁ったモノで満たされていた。
「……付けてたんだ」
リカちゃんが外したのはコンドーム。備え付けのじゃなく、さっきローションと一緒に買ったらしいソレの口を縛って、残していた紙にくるんでゴミ箱へ捨てる。
てっきりナカに出されたと思っていたのに…なんだか面白くない。
「久しぶりだしな。そのまま挿れたらお前の負担になるから」
空いたベッドのスペースに寝転んだリカちゃんに手招きされ、傍に寄った。素肌のままの左胸に頭を乗せると、トクトクと一定のリズムで聞こえる心臓の音にすげぇ落ち着いた。
「なんか慣れてんな、お前」
着いた時から部屋に入った後も、さっきのエッチでもそうだ。すんなりと全てをこなしてしまったリカちゃんを睨んだ。俺の知らない過去で、こういう所に来ていたんだと思うと胸が痛い。
リカちゃんは天井を見上げたまま答える。
「慣れて…いや、そうでも」
「別に嘘つかなくていい」
「嘘じゃねぇよ。こういう部屋って綺麗なイメージないから極力入りたくないし、今だってお前がいなきゃシャワー浴びて出てる」
潔癖気味のリカちゃんにラブホって似合わない。その証拠にリカちゃんは出来るだけ部屋の物に触らない。
「シャワー浴びる?」
汚れた身体が気持ち悪いかと思って聞くと、リカちゃんは少し考えた後に「後で」と答えた。ゆったりとした動作で俺の髪を指に絡める。
「なんだろうな。ヤッた後って早くタバコ吸いたい、身体洗いたいって思うんだけどな。今はそういうの全くない…ってか、お前との後はいつもそうだけど」
「なにが?」
「今のでなんでわかんねぇんだよ……」
ため息をついたリカちゃんが俺を抱き寄せる。自分の身体の上に俺を乗せ、上目遣いで見上げてきた。
「全部どうでもよくなるぐらい慧君に夢中ってこと。わかった?」
……今のは効いた。
前からこういう甘い雰囲気が多いヤツだったけど、こうもストレートに出されると照れるっていうか…直視できなくて倒れ込む。
「慧君?」
「うっさい。黙れバカ」
リカちゃんの首元に顔を埋め、そろっと横目で見る。クスクス笑いながら俺の髪を撫でるその横顔はすげぇ嬉しそうで、優しくて綺麗だ。ギュッと抱き付けばリカちゃんも俺に頬ずりをする。
「あー、なんか誕生日とクリスマスと正月が一気に来た感じ。俺、今なら世界中の誰より幸せな自信がある」
「リカちゃん…なんか優しいっつーか……やたら甘い」
「そうか?前からこんな感じだったと思うけど」
「じゃねぇよ。甘すぎて気持ち悪い」
逃げようと起こした身体はやっぱり抱きしめられる。
一瞬も離してくれないリカちゃんが俺に触れるだけのキスを、髪…額、鼻に頬に。目につくところに落としながら笑う。
それは言葉や態度、雰囲気以上に甘くてキラキラしていた。
「今まで出来なかった分も尽くすし、これからはもっと大切にするから」
「前以上に?」
「そう。お前の気持ちが追いつくまで抑えてきたからな。もう何も隠すことないし存分に甘やかしてやる」
今までだって引かれるほど溺愛だって言われて、バカだって、変態だって言われてたのに抑えてた?あれで?あのウザいほど慧君慧君のリカちゃんが?
少しだけ不安になった。
「ちなみに前までのって何割?」
そう聞いた俺にリカちゃんは答える。
「せいぜい4割かな。今日からは全力でいくから覚悟してろよ」
腹筋を使って起き上がったリカちゃんがまた俺を押し倒した。頭がシーツに触れるよりも早く唇が降りて来る。
「ふっ…」
「慧君さ、さっき拗ねただろ?」
舌を絡ませながら器用に話すリカちゃんは目を細めて俺を見下ろす。
これなんか…嫌な予感。そうやって狙いを定めた目をして、歪んで笑う時のリカちゃんは何か悪いことを思いついた時か、楽しいことを見つけた時のどちらかだ。
「抑えてたのは甘さだけじゃない。今まで以上に可愛がってあげるね、慧君」
すげぇ意地悪に笑ったリカちゃんは『楽しいこと』を見つけたらしく宣言通り全力で向かってくる。
「優しいだけじゃ物足りないんだろ?」
何でもわかっちゃう完璧な恋人はいつの間にかスイッチが入ってしまっていた。
偉そうに笑ったと思ったらさっきまで自分が好き勝手していた唇を親指で拭う。
リカちゃんは濡れたその指を咥え、流し目で格好つけて言った。
「俺から逃げられると思うなよウサギちゃん」
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